40代で転職を考えて、エージェントの比較サイトを何本か開いたところだと思います。だいたいどの記事にも「40代に強い」と書いてある。しかも会社名が微妙に違う。

先に、いちばん言いにくいことを書きます。

40代に強いエージェントはどこか」を数字で示すことは、今のところ誰にもできません。

理由は単純で、年代別の実績データが公表されていないからです。エージェントが国に報告している数字は法人単位で、年代の内訳がない。「40代の決定実績が最も多いのはA社」と書いてある記事があったら、その数字の出どころは公的なものではありません。

そのうえで、この記事では確かめられることだけを書きます。国に出ている数字、各社の公式サイトに書いてあること、実際に登録した人が書いた口コミの原文。この3つです。

なお、この記事は40代前半で、まだ在職中の人を主に想定しています。40代後半で離職期間がある場合は、起きることが変わります。理由は後述します。

根拠にしたのは、国に提出された数字です

数字の出どころはひとつです。厚生労働省の「人材サービス総合サイト」。有料職業紹介事業者が実績を国に報告していて、それが誰でも見られる形で公開されています。登録も課金も要りません。

知られていないわりに、40代には効く2つの制度

このサイトの存在自体があまり知られていないので、先に2つだけ。年齢が上がるほど効いてくる話です。

早期に辞めた人の数は、公開する義務がある

エージェントは「紹介した人のうち、就職から6か月以内に離職した人の数」を公開する義務があります。職業安定法第32条の16第3項で情報提供の対象になっているのは、次の3つです。

同じ欄の「離職したか不明な者の数」とセットで見てください。離職者数が少なくても不明の数が大きければ、それは「辞めていない」ではなく「分からない」なので。

ただ、実際には空欄の会社が多く、当サイトが調べた6社のうち出していたのは1グループだけでした。悪い数字が出ている会社より、欄が空いている会社を先に見る。これは私の読み方であって、各社の公式見解ではありません。

入社から2年間、同じエージェントは転職を勧められない

エージェントの紹介で正社員として入社した人に対して、そのエージェントは2年間、転職を勧めてはいけないことになっています。2025年1月1日から、職業紹介事業の許可条件に次の2つが追加されました。

  • 転職勧奨の禁止(就職日から2年間)

  • お祝い金等の提供の禁止

  • 出典: 厚生労働省 職業紹介事業関係資料(確認 2026-08-12)

40代の転職は次がいつになるか読めません。入社して半年で同じ担当者から別の求人が届いたら、許可条件に反している可能性があります。

担当者の動き方が変わるのは、能力の話ではなく報酬の話

エージェントは、紹介した人が入社したときに企業から報酬を受け取ります。相場は理論年収の3割前後(転職エージェントはなぜ無料なのか)。

年収が高い人ほど、決まったときの報酬は大きい。それなら年収の上がっている40代は歓迎されそうなものですが、そう単純ではありません。決まらなければ報酬はゼロだからです。

担当者の持ち時間は有限で、決まりやすい人から順に使われる。年収の高さは、決まる確率と掛け算になってはじめて期待値になります。

40代で在職中なら、この掛け算はまだ悪くない側です。「今すぐ決めなくてもいい」という余裕そのものが材料になる。

年齢の壁が出てくる場所は、3つに分かれます

ここからは公的データではなく、エージェントで5年、その後に採用側の人事をやってきて見てきた範囲の話です。「40代は厳しい」とひとまとめに言われますが、厳しさが出る場所は3つあって、性質が違います。

ひとつめは登録そのものを断られる場面。申し込んでも面談まで進まず、「ご紹介できる求人がございません」で終わる。

ふたつめは書類選考の、表に出ないフィルタです。求人票に年齢は書けません。

年齢を理由にした募集の制限は法律で原則禁止されています。書けないので、書きません。

ただ、想定している年齢の幅は採用側にあります。

みっつめは面談や面接での態度です。断られるわけではないけれど、返信が遅くなる、紹介が減っていく、面談が予定より早く終わる。

40代を、ひとつにまとめないほうがいい

このうちどれに当たるかは、前半・後半でかなり違います。

40代前半で、まだ在職中の人は、ひとつめの壁はだいたい通過します。面談まで進む。そのあとの2つで苦戦するかどうかは経歴と応募先次第です。だからこの記事は、2つめと3つめを前提にした「どこに登録するか」の話を中心にしています。

一方で、40代後半で、しかも離職期間がある場合は、ひとつめの段階で断られることが起きます。会社選びより先に、登録が通らない理由のほうが問題になる。

前半・在職中の人が「40代は登録できない」という記事を読んで先回りして諦めるのは、もったいない。逆に、ここから先が自分の状況と噛み合っていないと感じたら、断られる側で何が起きるかを口コミの原文つきでまとめた記事があります。

選ぶときに見るもの、3つ

① 求人数ではなく、決まった人数を見る

求人数は、社ごとに数えているものが違います。求人広告と紹介が混ざっている社、紹介の公開分だけの社、ヘッドハンターが持っている分を含む社。並べて多い少ないを語ると、定義の違いを量の差として見せることになります。

決まった人数(就職者数)のほうは法律で報告が義務づけられていて、定義が全社共通です。令和07年度の実績が取れているのは4法人で、数字はこのあとの一覧表にまとめました。読むときの注記が3つあります。

この数字に年代の内訳はありません。40代が何人かは分かりません。

法人単位であって、サービス単位ではありません。マイナビの無期雇用の割合が低く見えますが、株式会社マイナビは新卒からアルバイト、医療介護まで紹介事業の幅が広く、この数字はその合計です。マイナビエージェントの実績として読むと間違えます。

リクルートエージェントとリクルートダイレクトスカウトは同一法人なので、数字が完全に同じです。片方を実績で上と書いている記事があったら、根拠はこの数字ではないことになります。

数え方の詳細と★の計算式は転職エージェント6社比較に置いています。この記事の数字はそこから引いています。

② 総合型・特化型・スカウト型を混ぜて考えない

担当者がついて求人を紹介してくるのが総合型・特化型。スカウト型は、登録して待つ設計です。担当者が能動的に動く前提で登録すると、何も起きない期間が長く感じられます。在職中で使える時間が限られている人ほど、ここを最初に確認したほうがいい。

③ 拠点と、対応している地域

対面で相談したいか。そして自分の住んでいる場所で求人が動いているか。地方在住だと、選べる会社が変わります。

見なくていいもの

「40代におすすめ」「40代に強い」というラベルそのものです。冒頭に書いたとおり、それを裏づける公的なデータが存在しません。書いてある会社が悪いのではなく、その表示は選ぶ材料にならないという話です。

候補になる会社と、各社の確認結果

各社について確認できたことと、確認できなかったことをそのまま書きます。

社名 種別 就職者数 無期雇用の割合 公開求人数 許可番号
リクルートエージェント 総合型 87,754人 95.72% 確認できず 厚労省側で同定(13-ユ-317880)/公式サイトでは未確認
doda 総合型 60,307人 96.11% 285,663件 13-ユ-304785(公式で確認)
マイナビエージェント 総合型 31,662人 86.74% 144,721件 13-ユ-080554(公式で確認)
JAC Recruitment ハイクラス 13,694人 94.48% 確認できず 厚労省側で同定(13-ユ-010227)/公式サイトでは未確認
リクルートダイレクトスカウト スカウト型 87,754人(RAと同一) 95.72% 確認できず 同上
ビズリーチ スカウト型 取れていません 確認できず 未確認
パソナキャリア 総合型・ハイクラス 取れていません 52,774件 未確認
コトラ ハイクラス特化 取れていません 37,184件 未確認
ワークポート 総合型 取れていません 確認できず 13-ユ-040590(公式で確認)

「許可番号 未確認」は、無許可という意味ではありません。当サイトが公式ページで表示を確認できなかったという意味です。求人数は取得時点の参考値で、社間の比較には使えません。

年代の情報が何もない4社(リクルートエージェント/doda/リクルートダイレクトスカウト/ワークポート)

先にまとめて書きます。この4社は公式に年代の訴求がなく、40代に向く・向かないの根拠がありません。そのうえで、それぞれ確認できたことだけ。

リクルートエージェントは就職者数が今回調べた中で最多です。運営法人については当サイト内で確認の食い違いが残っているので、この記事では書きません。

dodaはパーソルキャリア株式会社の運営で、許可番号を公式の会社概要で確認できました。無期雇用の割合96.11%は今回の中で最も高い数字です。年代を特定できる口コミは、収集した30件の中に1件もありませんでした。

リクルートダイレクトスカウトはスカウト型で、登録して待つ設計です。公的な数字はリクルートエージェントと同一なので、この数字で2つを比べることはできません。40代の口コミも収集できていません。

ワークポートは許可番号を公式で確認できました。決定人数は取れていません。拠点は、公式サイト内に次の2つの表示が併存していたので、両方書いておきます。

  • 「全国47都道府県に拠点」という表示
  • 「本社は東京・福岡の2つ」という表示

この会社には登録直後の経過を具体的に書いた証言が複数あり、断られる側の体験です。

年代に触れている3社(マイナビエージェント/パソナキャリア/コトラ)

触れ方がそれぞれ違うので、読み分けが要ります。

マイナビエージェント — 呼びかけている年代が違うだけ

公式の訴求が20代から30代中心です(当サイト調査 2026-08)。ただし40代を対象外にするという記載は見つかりませんでした

「40代には向かない」と書いている記事を見かけますが、根拠にできる公式表示は確認できていません。言えるのは、公式が主に呼びかけている年代が違う、というところまでです。

パソナキャリア — 「30〜45歳」に40代後半は入っていない

公式サイトに30〜45歳の実績が最も多いという表示があります。自社の申告なので第三者は検証できません。

それと、45歳までであって40代後半は含まれていません。40代前半の人には数少ない年代の手がかりですが、後半の人が同じ表示を根拠にすると読み違えます。

  • 公開求人数: 52,774件(2026-08-12更新の実数表示)
  • 厚労省の決定人数: 取れていません
  • 年代を特定できる口コミ: ありませんでした
  • 公式サイト: https://www.pasonacareer.jp/

コトラ — 年代で入口を分けている

公式サイトが20代・30代・40代・50代以上という年代の入口を分けています。年代で導線を分けている数少ない会社です。ただし40代の実績の数字は公開されていません。

  • 公開求人数: 37,184件
  • 決定人数: 取れていません
  • 口コミ: 収集していません
  • 許可番号: 公式で確認できていないので、★は出していません

JAC Recruitment(ハイクラス・両面型)

年齢について公式に触れている数少ない会社です。年齢に関わらず登録できると明記しています(当サイト調査 2026-08)。これは「40代に強い」ではなく「年齢で門前払いはしないと自社で言っている」という意味です。区別して読んでください。

もうひとつ、45歳で決まったという口コミが1件あります。

「転職5回、年齢45歳、プラントエンジ一筋の経歴で1ヶ月少々で転職出来ました。ここは、企業側と求職者側の担当者が同じなのでニーズの乖離が少なかった感じがします。また、各担当者間で情報を共有しているため紹介数が多い。書類通過率は他エージェントと比べて高かったです。」

hamhamさん・★4.00・2022.09.09 minhyo.jp

これは1件です。1件を根拠に「40代でも決まる」とは書けません。それに、同じ投稿者が条件も書いています。

「職務経歴が充実していれば【あり】です。逆の場合、紹介すらしてもらえないでしょう。」

hamhamさん・★4.00・2022.09.09 minhyo.jp

この「経歴が充実しているか」は、自分ではまず判断がつきません。年齢では断らないと会社側が明記している以上、いまの経歴がどう見られるかは聞いてしまったほうが早いです。

転職5回という点は40代だと気にする人が多いところですが、回数そのものより在籍期間の並びが読まれます。

ビズリーチ(スカウト型)

許可番号を公式サイトで確認できなかったため、当サイトでは★を出していません。公的データも取れていません。

事実として書けるのは、基本の利用は無料でも一部の機能は有料会員だけということです。「全部無料」ではありません。

40代と明記された口コミは、今回集めた15社分の中でこの1件だけでした。

「40代で転職を検討。プレミアム無料サービス期間に、ヘッドハンターからオファーが来て、企業へカジュアル面談をセットしてもらったが、ヘッドハンターの能力が低く、企業へちゃんとニーズを伝えておらず、企業とこちらの要望の食い違い。時間が無駄になった。」「基本来るのはキツそうなブラックな仕事や、遠くの地での仕事ばっかり。有料登録してはいけません。」

とくめいさん・★2.00・2024.12.17 minhyo.jp

オファー自体は来ている。そのうえで、間に入った人のところで話がずれた体験です。スカウト型は企業と自分の間に第三者が入る作りなので、そこが噛み合わないと結果が変わります。1件の投稿なので、これが標準だとは言えません。

ここまでで挙げた会社のうち、どこが自分の候補になるかは、40代という年代だけでは決まりません。経験をどうしたいか、どこに住んでいるかで変わります。

登録したあと、結果がいちばん変わるところ

会社を決めたら、次に効くのは初回面談です。ここで話した内容で、そのあと届く求人の中身が決まります。担当者が合わないと感じたら、会社を変えるより先に担当者を変えてもらえます。

求人票を読むだけでは、企業側が本当に何を求めているかまでは分かりません。「自分の場合はどう評価されるのか」と思ったなら、複数社に同じ経歴を見せて、返ってくる求人の違いを見るのがいちばん早い判断材料になります。

40代が持ち帰るべき事実

4法人
決定人数という共通の物差しで比べられる会社の数
厚生労働省 人材サービス総合サイト(2026-08-06取得)。他社は未公表
250件超
この記事のために読んだ15社の口コミ
当サイト収集。うち「40代」と明記されていたのは1件
  • 「40代に強いエージェント」を裏づける公的データは存在しません。国に出ている実績は法人単位で、年代の内訳がない。
  • 決定人数という共通の物差しで見られるのは4法人だけです(リクルート系87,754人・doda 60,307人・マイナビ31,662人・JAC 13,694人。いずれも年代内訳なし)。
  • 公式が年代に触れている会社は少数あります。JAC(年齢に関わらず登録可)、パソナ(実績最多は30〜45歳)、コトラ(年代別の入口)。いずれも入口の表示であって、実績の証明ではありません。
  • 45歳・転職5回で1か月で決まった口コミが1件あります。同じ投稿者が「職務経歴が充実していれば」という条件を自分で書いています。
  • 40代と明記された口コミは、15社250件超のうち1件でした。集めた口コミの範囲は各社の評判にまとめてあります。40代の体験談を大量に載せている記事があったら、出どころを確認してください。
  • 担当者の時間は決まりやすい人から使われます。在職中という状況は、その配分の中では不利ではありません。

ここまでは「どこに登録するか」の話でした。登録そのものが通らない、面談まで行っても相手にされていないと感じる、という段階にいるなら、そこで何が起きているかを口コミの原文つきで書いた記事があります。

マネジメント経験や専門性を年収に変える方向なら、外資・グローバル・ハイクラス専門の窓口が40代の主戦場です。

転職活動全体のどこで止まっているか分からなくなったら、現在地から確かめるのがいいと思います。