「転職活動、何から始めればいいのか分からない」。この状態の人がまずやるべきなのは、求人サイトへの登録でも履歴書のダウンロードでもなく、全体の地図を見て自分の現在地を知ることです。この記事がその地図です。
自己紹介を短く。私は転職エージェントで働いていた時期があり、自分でも転職をし、今は採用する側の人事をやっています。紹介する側・使う側・受け入れる側。三つの椅子に座った経験から、このシリーズでは各工程を「やる側のノウハウ」ではなく「見られる側・選ばれる側から見える景色」で書いていきます。
転職活動の全体像は6つの工程に分かれる
大まかに言うと、転職活動は「迷い → 準備 → 応募 → 選考 → 内定・退職 → 入社」という道をたどります。全部で平均3〜6ヶ月。
工程の数だけ見ると長そうですが、実際は同時並行で進みます。準備しながら応募し、応募しながら面接を受ける。きれいに一直線には進みません。私自身の転職も、職務経歴書を直しながら面接を受けていました。たぶんみんなそうです。
大事なのは順番より、今どの工程で詰まっているかを自分で言えることです。詰まっている場所によって、読むべき記事も、やるべきことも変わります。
なお、各工程にどの記事があるかの一覧は、この記事ではなく 転職のイロハ にまとめてあります。公開済みの記事が自動で並ぶようにしてあるので、いつ見ても最新です。全体像はこの記事で掴んで、実際に読む記事はそちらから選んでください。
現在地診断——あなたはどこで止まっているか
上から順に読んで、自分に当てはまる最初の項目で止まってください。そこが今のあなたの現在地です。
「そもそも転職すべきか迷っている」 求人を見る前に、辞めたい理由の切り分けが先です。ここを飛ばして応募から始めた人は、面接で「なぜ転職するのか」に答えられなくなります。
「転職はしたい。でも自分に何ができるか・売りが分からない」 ここで一番つまずく人が多い。エージェント時代の面談でも、体感で半分以上の人が「やりたいことが分からなくて」から話が始まりました。あなただけではありません。
「書類を作らないといけないのが憂鬱」 職務経歴書は「書き方」より「読まれ方」を知ると一気に楽になります。読む側が見ているところは、思っているより少ないです。
「エージェントとか転職サイトとか、何をどう使えばいいか分からない」 無料の裏にあるビジネスモデルを知ってから使うと、振り回されなくなります。
「面接が怖い・落ち続けている」 面接官が確認したいことは、実はそんなに多くありません。準備も、面接官側から逆算すると有限になります。
「面接は終わったのに、連絡が来ない」 あの沈黙の中身は、たいてい社内の事務です。不合格のサインとは限りません。
「内定は出そう。年収交渉や退職が不安」 ここは決裁や引き止めの「相手側の事情」を知っているかで結果が変わります。
「入社後にやっていけるか不安」 試用期間の恐れは、たいてい実態より大きく見えています。
当てはまった項目が、そのままあなたの現在地です。**その工程の記事は 転職のイロハ の同じところにまとまっています。**上から全部読む必要はありません。止まった場所だけ持って帰ってください。
最初の1ヶ月でやること・やらなくていいこと
いきなり会社を辞めるのは、ほとんどの場合悪手です。在職中の転職活動は時間的にきついのは事実ですが、「無職の焦りの中で内定を承諾する」ことのリスクのほうが大きい。採用側の人事として言うと、離職期間そのものはさほど気にしませんが、焦って決めた転職は入社後のミスマッチとして跳ね返ってくるのを何度も見ています。
逆に、最初の1ヶ月でやる価値が一番高いのは「職務経歴書を一度ラフに書いてみること」です。提出用ではなく、自分用。書いてみると、自分の経歴のどこが語れてどこが語れないかが物理的に分かります。面談で「やりたいことが分からない」と言っていた人も、経歴を書き出すと「これはもうやりたくない」だけは明確に出てくる。消去法は立派な軸です。
三つの立場から、ひとつだけずつ
このシリーズ全体の予告編として、それぞれの立場から一言ずつ置いておきます。
元エージェントとして。 エージェントは味方ですが、ボランティアではありません。あなたが入社すると企業から紹介料が入る商売です。この構造を知っているかどうかで、提案の受け取り方が変わります。悪い仕組みではない。ただ、知らずに使うと流されます。
転職経験者として。 転職活動で一番つらいのは、お祈りメールでも面接でもなく、「自分の値段を突きつけられる感覚」でした。これは事前に知っておくと、少しだけ楽です。落ちるのはあなたの人格の否定ではなく、マッチングの不成立です。
採用側の人事として。 企業は完璧な人を探していません。「うちで機能しそうか」を見ています。満点の候補者はそもそも来ないことを、採る側は知っています。
この地図の使い方
この記事は「全体像と現在地」だけを扱っています。工程ごとの記事一覧を持っているのは 転職のイロハ のほうで、迷いから入社まで、公開済みの記事がSTEP順に自動で並びます。地図をこの記事に書き写すことはしていません。書き写せば、必ず片方が古くなるからです。
工程が進んだら、また戻ってきてもらえれば十分です。そのときは、たぶん前より記事が増えています。
ひとつだけ最後に。転職活動には「正しい進め方」の情報が溢れていますが、正直、進め方で決まる部分は半分くらいだと思っています。残りの半分は、自分が何に耐えられて何に耐えられないかを、どれだけ正直に見られるか。地図は差し上げますが、現在地を正直に認めるのは、あなたにしかできない仕事です。