求人票に「30歳まで」とは書けません。年齢を理由にした募集制限は、法律で原則禁止だからです(厚生労働省「募集・採用における年齢制限禁止について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/jigyounushi/topics/tp070831-1.html )。

ただ、求人票を作る側にいた立場から書きます。

想定年齢は、ほぼすべての求人に存在します

書けないだけ。消えてはいない。

30代の転職を考えるなら、この見えない想定をどう読むかが最初のスキルです。脅す話じゃなくて、読めれば無駄打ちが減るという話。順に書きます。

想定年齢は、どこに漏れ出ているか

社内で求人を作るとき、依頼元の現場はわりと露骨に言います。「28くらいまでの若手がほしい」「40前後のマネジメント経験者を」と。

人事はそれを書ける表現に翻訳する。

だから求人票には翻訳の痕跡が残ります。

求人票から想定年齢を逆算する3箇所

1 想定年収帯 400万前後なら20代、600万を超えると30代以上を想定していることが多い 2 経験年数の指定 「経験3年以上」は20代後半〜、「10年以上」や「マネジメント経験」は30代後半〜 3 ポジションの位置づけ メンバー募集か、リーダー・立ち上げ・部下つきか

この3つを重ねると、だいたい見えます。

年収450万・経験3年・メンバー募集の求人に35歳で応募して通らないのは、あなたの能力の問題じゃないことが多い。枠の想定と合っていないだけなんです。

逆もあります。

年収600万・マネジメント経験歓迎の求人は、20代には出せない札を30代に期待している求人。求人票の読み方の基礎はこちらの記事にまとめてあります。

30代の書類は、20代と違う場所を読まれる

落とす側として30代の職務経歴書を読むとき、視線の置き場が変わります。

20代なら伸びしろを見る。30代は「何で貢献する人か」を見る。

もっと言うと再現性です。

その成果はあなたの力で出たのか。環境のおかげだったのか。次のうちでも再現できる根拠があるか。役職の有無よりここの記述の厚みで判断していました。

肩書がなくても大丈夫です。後輩の育成、業務の改善、社外との調整。マネジメントの素片は肩書なしでも書けます。書けていない30代の書類が本当に多くて、読みながら歯がゆかった。素材はあるのに20代と同じ「やったことの列挙」で書いてしまっている。読む側の視点の記事の型を、30代はとくに意識してほしいです。

「最後のチャンス」なのか

30代の焦りの正体は、たいていこれですよね。ここで間違えたら終わり、という感覚。

半分だけ、事実です。

未経験職種への転換の門は、30代で目に見えて狭くなります。ポテンシャル枠の対象から外れていくので。そこは楽観を言いません。

でも経験を軸にした転職の市場は逆です。

35歳限界説みたいな話は、私が採用側にいた実感とはもう合っていません。30代後半でも経験の型が合えば普通に採ります。むしろ帯が上の求人は30代からが本番。「終わり」ではなく「戦い方が変わる」が正確なところだと思います。

30代の転職・狭くなる道と開く道

狭くなる道 未経験職種へのポテンシャル転換 実績を問われない若手枠 「なんでもやります」型の応募 開く道 経験の再現性で語る同職種の上位 マネジメント・立ち上げ人材の枠 隣接職種への「地続き」の展開

右下の「地続き」は補足を。まったくの未経験は狭くても、今の経験と半分重なる隣の職種なら30代でも通ります。私自身のキャリアの分岐も結局この型でした。人事系の例ですが30代のキャリアパスの記事に書いています。

30代の求人をどこから見るかで迷っているなら、エージェント診断の4問で候補を2〜3社に絞れます。

焦りの使い方

家庭、住宅ローン、親の年齢。30代の転職は背負うものが多くて、20代のように身軽には動けません。

だから焦る。分かります。

ただ焦りで一番やってはいけないのが、想定枠を読まない乱れ打ちです。通らない枠に応募して、落ちて、市場価値がないと誤解して、さらに焦る。この悪循環を面談で何度も見ました。落ちた理由の大半は枠のミスマッチなのに、本人は人格を否定された顔をしている。

求人票の想定年齢を読む。自分の再現性を書類にする。狭い道ではなく開く道に応募する。

やることはこの3つだけ。焦りは応募数ではなく、読みの精度に使ってください。