「転職は3回まで」。どこかで聞いたことがあると思います。
書類を読む側に長くいた人間として言うと、私は回数を数えていませんでした。
数えていたのは別のものです。在籍期間の並び。 職歴欄を上から下に眺めたときの期間の波形で、回数が同じ4回でも並びが違えば読み方はまったく変わります。回数を気に病んで不安になっている人にこそ、この読まれ方の実際を知ってほしいんです。
同じ「4社目」でも、並びで印象は逆になる
例で見せます。どちらも転職3回、4社目の応募だとして。
転職3回・並びが作る2つの読まれ方
左の1行目、在籍がだんだん短くなる並び。これが読む側として一番気になる形でした。我慢の閾値が下がっている波形に見えるからで、次はもっと短いかもしれないと身構えてしまう。怖い並びです。
右の1行目は逆で後ろほど長い。最初につまずいて、その後は腰を据えた人の波形です。回数は同じでもこちらを警戒した記憶はありませんし、直近の在籍が一番長いなら回数はかなりの程度、帳消しになります。若い頃の短い在籍が1〜2個あるのも正直どうでもよかった。読む側の重心は常に直近です。職務経歴書の読まれ方の記事で書いた通り、書類は直近から読まれるので。
もうひとつ読まれているもの。辞め方のパターン
並びの次に見ていたのが退職理由の反復です。
1回1回の理由ではなく、パターン。毎回「上司と合わなくて」なら、どの会社にも合わない上司がいる確率を考えます。毎回「もっと成長できる環境を」なら入社後もその台詞が続くのだろうと読む。理由が毎回違うことより、同じ理由が繰り返されていることのほうがずっと重い情報なんです。
じゃあ、どう扱うか。
隠さない。断ち方を語る。
繰り返しに気づいているなら「振り返ると、選ぶ段階で確認を怠っていました。今回は◯◯を面接で必ず確認しています」まで言える状態にしておく。パターンを自覚して打ち手を変えた人は読む側として信頼できましたし、自覚のないまま同じ説明を繰り返す人とはここで差がつきます。
理由の言語化に自信がなければ自己分析の記事を先にどうぞ。あと、辞め方そのものも意外と見られています。引き継ぎをして円満に出たか、揉めて飛び出したか。前職への言及の仕方にだいたい滲みます。これから辞める人は退職の切り出し方の記事を。
次の書類のためでもあるんですよ、辞め方は。
並びと辞め方が書類のどこに出るかは、出す前に自分で確かめられます。見る場所は職務経歴書チェックリストにまとめました。
回数が本当に不利になる場面と、ならない場面
公平に、不利が残る場所も書きます。
終身雇用の色が濃い会社。育成に時間のかかる職種。定着率を厳しく見る人事制度の会社。ここでは回数の多さが実際に効きますし、効く会社は変えられません。
でも市場の全部がそうではなくて。
人の入れ替わりが前提の業界、即戦力を短期で求めるポジション、プロジェクト単位で人が動く仕事なら、経験の幅として読まれることさえあります。私自身、複数社を見てきた応募者の「比較して語れる目」を買って通したことが何度もあります。回数の多さは場所を選べば売り物になる。
転職回数が多い人の書類戦略
社数を数えて青ざめるより、この3つを整えるほうが先です。転職回数は変えられない過去です。でも並びの「これから」は変えられます。次の1社に長くいれば波形は右肩上がりに変わっていくので、書類の上のあなたはまだ書き換え可能なんです。数字より波形。それが読む側の実際でした。