30代で転職を考えて、エージェントを探し始めたところだと思います。「30代に強い」「30代の転職成功事例多数」。どのサイトにも書いてある。20代の頃と違って、今回は失敗できない気がして、選ぶ手が止まる。

先に、いちばん大事なことを書きます。

「30代に強いエージェントはどこか」を数字で確かめる方法は、今のところ存在しません

エージェントが国に報告している実績は法人単位で、年代の内訳がないからです。「30代の決定実績が最も多いのはA社」という記事があったら、その数字の出どころは公的なものではありません。

もうひとつ。この記事を書くために口コミを集めましたが、30代と分かる口コミは、驚くほど少なかった。大手8社とハイクラス・IT7社、20代特化3社の口コミを合計約100件読んで、投稿者が30代と読み取れたのは3件です。

20代特化3社だけで359件の書き込みがあるのと比べると、極端に少ない。だからこの記事は、口コミで盛り上げる代わりに、確認できた事実と、求人票を作る側にいた人間としての見解を、区別しながら書きます。

この記事の数字は、国の公開データから取りました

数字の出どころは、厚生労働省の「人材サービス総合サイト」です。有料職業紹介の会社は実績を国に報告する義務があり、誰でも無料で見られます。

先に知っておいてほしい、2つの制度

ひとつ。エージェントは「紹介した人のうち、就職から6か月以内に離職した人の数」を公開する義務があります。就職者数、無期雇用での就職者数、6か月以内の離職者数。この3つが職業安定法第32条の16第3項で情報提供の対象で、人材サービス総合サイトに載ります(出典: 同法/厚生労働省 人材サービス総合サイト、確認 2026-08-12)。

同じ欄に「離職したか不明な者の数」という項目もあります。離職者数が少なくても、不明の数が大きければ「辞めていない」ではなく「追跡できていない」です。セットで見てください。実際に見ると空欄の会社が多く、当サイトが調べた6社でこの欄を出していたのは1グループだけでした。詳しくは転職エージェント6社比較に載せています。

ふたつ。エージェントの紹介で正社員として入社した人に、そのエージェントは2年間、転職を勧めてはいけないことになっています。2025年1月1日から、職業紹介事業の許可条件に「転職勧奨の禁止(就職日から2年間)」が追加されました(出典: 厚生労働省の職業紹介事業関係資料、確認 2026-08-12)。

30代の転職は、次の一社に長くいる前提で選ぶ人が多いはずです。入社後に同じ担当者から別の求人が届いたら、この制度を思い出してください。

30代の壁は、20代特化サービスの「上限」から始まる

数少ない30代の口コミのうち、いちばん構造がはっきり見えるのがこれでした。

「現在30代前半で、就職活動をしています。(中略)30代で派遣や契約社員での職歴しかない為、登録を断られる事が多く 転職エージェントのハタラクティブに何とか登録が出来たのですが、30代となると手術道具や医療器具の洗浄の求人で、アルバイトでの採用しかないとの事でした。」

Yahoo!知恵袋・2017/3/31 detail.chiebukuro.yahoo.co.jp

20代の頃は、UZUZやマイナビジョブ20'sのような「経歴に自信がなくても入口が広い」サービスが使えます。マイナビジョブ20'sは20代・第二新卒・既卒を対象と明記していて、公式には「登録者の77%以上が25歳以下」という表示があります( https://mynavi-job20s.jp/ ・当サイト確認 2026-08-12)。

つまり、30代になると「入口の広いサービス」の対象から外れます。総合型のエージェントに直接向き合うことになり、そこでは経歴で判断されます。経歴が強ければ20代より歓迎され、弱ければ20代より断られやすい。30代は年齢そのものより、入口の選択肢が減った状態で経歴勝負になることが変化の正体だと私は考えています。ここは見解です。

30代後半になると、こういう声も出てきます。

「今の私は、エージェントから「ご紹介できる求人がありません」と言われ…」

37歳・元メガバンクの方のX投稿・2026-04-17 x.com

「自分も38の時に転職を試みましたが、ほぼ相手にしてくれる会社はありませんでした。」

Yahoo!知恵袋の回答・2021/10/15 detail.chiebukuro.yahoo.co.jp

繰り返しますが、30代の声はこの3件しか確認できていません。3件で「30代はこうなる」とは言えません。言えるのは、30代前半と後半で書かれている内容の質が違って見える、というところまでです。

なぜ年齢で扱いが変わるのか。求人票に年齢は書けません。年齢を理由にした募集の制限は法律で原則禁止されているからです(厚生労働省「募集・採用における年齢制限禁止について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/jigyounushi/topics/tp070831-1.html )。

それでも採用側には想定している年齢の幅がある。求人票を作る側で実際に何をしていたかは、30代の転職。求人票に年齢は書けないが、読まれてはいるに詳しく書きました。この記事の姉妹編です。

選ぶときに見るもの、3つ

① 求人数ではなく、決まった人数を見る

求人数は社ごとに数え方が違うので、並べて比べられません。決まった人数は法律で報告が義務づけられていて、定義が全社共通です。令和07年度の実績はこうなっています。

運営法人(サービス) 就職者数 無期雇用の割合
リクルートエージェントの運営法人 87,754人 95.72%
パーソルキャリア株式会社(doda) 60,307人 96.11%
株式会社マイナビ(マイナビエージェント) 31,662人 86.74%
株式会社ジェイエイシーリクルートメント(JAC Recruitment) 13,694人 94.48%

注記が2つ。この数字に年代の内訳はありません。30代が何人かは分かりません。そして法人単位であって、サービス単位ではありません。マイナビの数字には新卒からアルバイト、医療介護の紹介まで全部入っています。

計算の詳細と、リクルートエージェントとリクルートダイレクトスカウトが同一法人で数字が完全に同じ(=この数字で優劣を語れない)という話は、転職エージェント6社比較に置いています。

② 「年代に言及している会社」の記載を、そのまま読む

各社の公式サイトを確認して、年代に触れている会社は少数でした。触れている会社については、記載をそのまま書きます。

パソナキャリアは、公式サイトに「30〜45歳の実績が最も多い」という表示があります( https://www.pasonacareer.jp/ ・当サイト確認 2026-08)。30代はこの幅にまるごと入ります。ただしこれは自社の申告で、第三者が検証できる数字ではありません。公開求人数は52,774件(2026-08-12時点の実数表示)。厚労省の決定人数は当サイトでは取得できていません。

JAC Recruitmentは「年齢に関わらず登録できる」と明記しています(当サイト調査 2026-08)。ハイクラス・両面型で、支援実績の年収レンジは500万〜5,451万円と表示。決定人数は13,694人(前掲・法人単位)。年収レンジが合わないと紹介に至らないことがあるのは、口コミにも出てくる話です。いまの年収がこのレンジに届いているかどうかは、求人を見せてもらうまで分かりません。

マイナビエージェントは、公式の訴求が20代から30代中心です(当サイト調査 2026-08)。「30代に強い」根拠にはなりませんが、公式が主に呼びかけている年代に30代が入っている、というところまでは事実として書けます。

タイズ(メーカー特化)は、公式サイトに「30代を中心に」という記載と年代別のコンテンツがあります( https://www.ee-ties.com/ ・当サイト確認 2026-08-12)。メーカー技術職の人なら候補になります。ただし決定人数・許可番号とも当サイトでは確認できていません。

リクルートエージェント・doda・ワークポートなどの総合型には、年代の訴求はありませんでした。年代の記載がないことは、30代を歓迎しないという意味ではありません。単に、年代で選ぶ材料が公式にはないということです。

③ 見なくていいもの

「30代に強い」「30代満足度No.1」というラベルです。裏づけになる公的データが存在しないので、選ぶ材料になりません。それを掲げる比較サイトの多くは紹介報酬で成り立っています。当サイトも紹介リンクを使うことがありますが、順位や評価は公的データ以外で決めない方針です。

30代の使い方。20代と変えるべきところ

ここからは私の見解です。エージェントで5年、その後に採用側の人事をやってきた範囲の話として読んでください。

書類の作り込みを、登録の前にやる

20代は入口が広いサービスがポテンシャルを拾ってくれますが、30代は最初に出す職務経歴書でエージェントの動き方が決まります。担当者は経歴書を見て「決まりやすいか」を判断し、時間の配分を変えます。

最初に読まれるのは冒頭の職務要約です。書き方は職務経歴書で最初に読まれるのは、冒頭5行の職務要約ですへ。

「何がしたいか」より先に、軸を1本にしておく

30代の面談で担当者が困るのは、希望が広い人です。広いと、どの求人を当てても薄い反応になり、紹介が止まります。軸は立派である必要はありません。転職の軸は、立派である必要がないに書きました。

断られても、複数に当たる

30代は1社の判断で心が折れやすい年代です。エージェントの「紹介できる求人がありません」は、あなたの値段の判定ではなく、その会社の在庫との照合結果です。分解はエージェントに断られたときに書きました。

年収を上げたい30代は、交渉より先に「どの枠に応募するか」で結果の大半が決まります。年収を上げる転職は、交渉のうまさより「どの枠に乗るか」もあわせて読んでみてください。

どこから登録するかを決めきれないときは、エージェント診断の4問で、条件に合う候補が2〜3社出ます。

30代で押さえておくこと

  • 「30代に強いのは◯社」を裏づける公的データは存在しません。実績は法人単位で、年代の内訳がないからです
  • エージェントには、就職者数と6か月以内の離職者数を公開する義務があります。厚労省の人材サービス総合サイトで誰でも見られます
  • 紹介で正社員入社した人への転職勧誘は、2025年1月から2年間禁止されています
  • 30代と分かる口コミは、集めた約100件の中で3件しかありませんでした。30代の体験談を大量に載せているサイトを見たら、出所を確かめる価値があります
  • 30代の変化の正体は、年齢そのものより「入口の広い20代向けサービスの対象から外れて、経歴勝負になる」ことだと私は見ています
  • 年代に言及している会社は少数です。パソナキャリア(30〜45歳が実績最多と自社表示)、JAC(年齢に関わらず登録可と明記)、タイズ(30代を中心にと記載)。いずれも記載の事実までで、「強い」の根拠ではありません

経歴勝負に切り替わる30代で、外資・グローバル・年収600万円以上の領域を狙うなら、ハイクラス専門の窓口も並行して使えます。JACグループが運営しています。

外資・グローバル領域では、応募書類にTOEICスコアを書けるかどうかで通過率が目に見えて変わります。スコアが古い・足りない場合は、応募と並行してスキマ時間で対策を始めておくと、動ける求人の幅が広がります。

20代の方は20代の転職エージェント選びへ。40代が見えてきた方は40代の転職エージェント選びへ。求人票の年齢の読まれ方は30代の転職。求人票に年齢は書けないが、読まれてはいるに書いています。