「薬剤師 転職エージェント」で検索して、比較記事を何本も開く。1位の会社を確認して別の記事を見ると、そこでは違う会社が上にいる。三本目を開いても順位が変わっていて、結局どこを選べばいいのか分からない。

正直、あれは疲れます。そんな状態でこの記事を開いた方もいると思います。

薬剤師の求人は「人手不足だから」だけで出ているわけではなく、薬局が守らなければならない法令上の基準と、調剤報酬の点数表が裏にあります。

その調剤報酬が2026年6月に変わりました。エージェントを選ぶなら、改定後の言葉で求人の理由を説明できるかどうか、そこは見ておいたほうがいいです。

私は薬剤師ではなく、薬局の採用に関わった経験もありません。転職エージェントとして5年、事業会社の人事として3年働き、現在は人事・採用の外部コンサルをしています。

この記事では薬局の現場を知っているような話はせず、制度の条文、公的な統計、転職エージェント側の商売の仕組みから確認します。

仕組みそのものを先に知りたい方は、転職エージェントの仕組みを先に読んでもらってもいいです。

心構えの話は書きません。書くのは、求人票のどこを見るか、面談で何を聞くかです。順位で決められなかった人が、自分で確かめられる箇所を持って帰れるようにしたいと思っています。

求人が出るのは、その薬局が「開けていられなくなる」とき

同じ店舗で働く常勤の薬剤師が1人退職することになったとします。シフトを組み直せば済むのか、すぐ採用しなければならないのか、この違いには薬局が満たす必要のある基準が関係しています。

薬局が業務を行う体制の基準は、「薬局並びに店舗販売業及び配置販売業の業務を行う体制を定める省令」という名前の省令の第1条に並んでいます。長い名前ですが、薬局の側から見れば、これを満たせないと店を開けていられない、そういう条件表なんです。

勤務時間について書かれていること

  • 薬局の開店時間内は、調剤に従事する薬剤師が常時勤務していること
  • 調剤に従事する薬剤師の週当たり勤務時間数を全員分足した時間が、その薬局の1週間の開店時間以上であること
  • 薬剤師が不在にできる時間は、1日4時間か、その日の開店時間の半分のうち短いほうを超えられない

人数について書かれていること

  • 1日平均取扱処方箋数を40で割り、1未満なら1人、端数があれば切り上げた人数以上の薬剤師が必要
  • 眼科、耳鼻咽喉科、歯科の処方箋は3分の2を掛けて数える
  • 1日平均取扱処方箋数は、前年の総取扱処方箋数を前年の業務日数で割って計算する

1人の退職がなぜ採用を急がせるのか、ここまでで見えてきたと思います。常勤が抜けて週の勤務時間数が足りなくなれば、残った人の勤務時間を増やすか、開店時間を短くするか、新しく採用するか。どれかを選ばないと店を開けていられません。

だから求人の急ぎ具合は、世の中の人手不足だけでは読めません。店ごとの話なんです。

その店が週に何時間開いていて、在籍している薬剤師の勤務時間にどれだけ余裕があるか。求人票を見るときは、自分の勤務時間だけでなく店舗の営業時間と常勤の人数も並べてください。採用をどれくらい急いでいる店なのか、そこから推し量れます。

「40枚に1人」は上限であって、全国の平均ではありません

求人票に「処方箋1日100枚」と書かれていたら、その数字だけを見て忙しそうだと思ってしまいます。でも、薬剤師が4人なら1人25枚、3人なら約33枚。処方箋の枚数は、対応する薬剤師の人数と一緒に見ないと忙しさを判断できません。割り算一つです。

上で出てきた「40枚に1人」は、全国の薬剤師が平均して40枚を扱っているという数字ではありません。

厚生労働省が2021年に検討会へ出した資料には、こう書かれていました。平成30年度の処方箋は8.1億枚。同年の薬局薬剤師は18.0万人で、そのうち非常勤が5.8万人、常勤換算すると13.1万人です。

この人数で割ると、常勤換算した薬局薬剤師1人が1年間に扱う処方箋は約6,200枚になります。年間240日働くとして、1日当たりだと25.8枚。届出薬剤師数で割れば年間約4,500枚になります。

法令の40枚は、それを超えるなら人を増やす必要がある基準で、全国の実態はその6割程度の水準でした。

1枚にかかる時間からも見てみます。同じ資料のタイムスタディでは、計数調剤のみの処方箋について、外来患者への業務は1枚12〜13分程度でした。

内訳は、

  • 受付・薬袋準備:約1分
  • 薬歴確認・処方箋監査:約2分半
  • 計数調剤:約2分半
  • 監査:約3分
  • 薬剤交付・服薬指導:約3分半

25枚なら単純計算で300〜325分。

この調査には一包化や在宅は含まれていないので、実際の業務時間がこの通りになるとは限りません。

求人票では、処方箋枚数を薬剤師数で割ってみてください。人数が書かれていなければ、面談で確認すれば同じ計算ができるでしょう。

求人票の書き方そのものについては、求人票の読み方にまとめてあります。

2026年6月に、加算の名前がまとめて入れ替わりました

転職エージェントとの面談で、「この薬局は、かかりつけ薬剤師指導料を算定しています」と説明されたとします。以前ならそのまま聞いていた言葉です。

ですけど、2026年6月以降の店舗を説明する言葉としては、もう古いんです。令和8年度の診療報酬改定は2026年3月5日に公布され、6月1日から適用されました。

廃止・新設されたもの

廃止されたのは次の加算です。

  • かかりつけ薬剤師指導料(76点)
  • かかりつけ薬剤師包括管理料
  • 医療DX推進体制整備加算
  • 医療情報取得加算
  • 調剤管理加算

新設・統合されたのは次のとおりです。

  • かかりつけ薬剤師フォローアップ加算(50点・新設)
  • かかりつけ薬剤師訪問加算(230点・新設)
  • 地域支援・医薬品供給対応体制加算(後発医薬品調剤体制加算と地域支援体制加算が統合)
  • 電子的調剤情報連携体制整備加算(医療DX推進体制整備加算から一本化)

点数が変わったもの

改定後の主な点数変化は次のとおりです。

  • 調剤基本料1:45点→47点
  • 調剤基本料2:30点 / 3イ:25点 / 3ロ:20点 / 3ハ:37点
  • 特別調剤基本料:A5点・B3点(同一グループ300店舗以上の区分は廃止)
  • 在宅薬学総合体制加算1:15点→30点
  • 在宅薬学総合体制加算2イ(個人宅):50点→100点
  • 在宅薬学総合体制加算2ロ(施設):50点(変更なし)

調剤ベースアップ評価料4点と、3月に1回の調剤物価対応料1点が新設されました。

在宅の点数が上がれば、薬局が在宅を担う人を探す理由にはなります。ただ、それで在宅求人が増えると言い切れるかというと、そうでもないと私は見ています。受け入れ方が薬局によってまだばらばらですから。

「ケアマネさんから在宅の相談を受けたとき、/断る薬局って結構あるんだろうな〜/うちは断ったことがないです。/人手不足とか薬局の体制なんて/断る理由にならないと思うけど」

薬局に勤務すると書いている個人の投稿 x.com (2026-09-07)

求人票や面談で旧名称が現在の制度として使われていたら、「6月の改定後は、今はどの加算に当たりますか」と聞けば十分でしょう。担当者を試す質問じゃなくて、その店の説明がいつの情報なのかを確かめる質問です。

新規開局の求人は、開設日が5月までかどうかで違います

求人票で「新規開局」「オープニングスタッフ募集」を見つけたら、開設日と店舗の場所もちょっと見ておいたほうがいいです。2026年6月1日以降に新しく開設する薬局には、それ以前から営業している薬局とは異なる点数の条件が加わりました。

新設されたのが、門前薬局等立地依存減算の15点です。対象になるのは、立地と処方箋の集まり方が次のような薬局です。

  • 都市部にあり、500m以内に別の保険薬局があり、特定の医療機関からの処方箋集中率が85%を超える
  • 200床以上の医療機関から100m以内で、周辺に他の薬局が複数ある
  • 周囲50m以内に他の薬局が複数ある
  • 医療機関と同じ敷地や建物にあり、集中率が85%を超える

ここでいう都市部は特別区と政令指定都市ですが、500m以内に他の保険薬局がない地点は除かれます。2026年5月31日時点ですでに保険指定を受けている薬局には、当面この減算の施設基準は適用されません。

都市部で処方箋受付回数が600回超1,800回以下、処方箋集中率が85%超の場合は、調剤基本料2の30点に該当します。ここに新規開設という条件はありません。

2026年5月31日までに開設した既存薬局については、改定後も処方箋受付回数1,800回以下を続けている場合に限り、当面は適用されない経過措置があります。

医療モール内(医療ビレッジ内を含む)の複数の医療機関についても変更があり、1つの医療機関とみなして処方箋集中率を計算するようになりました。

背景には、集中率の高い薬局が増え続けている事情があります。2015年と2024年を比べると、集中率85%以上は32.5%から39.3%へ、95%以上は14.0%から17.3%へ増えました。

新規開局の求人では、開設日、相手先の医療機関との距離、周辺の薬局数、見込んでいる集中率を聞く意味があります。

減算の対象だから職場として悪いわけではありません。同じような立地でも、2026年5月までに開設した店と6月以降の新店では、店に入る点数の前提が違うんです。

かかりつけ薬剤師の要件は、転職から6か月で届きます

転職すると、かかりつけ薬剤師として働くための期間がすべて最初からになると思っている人もいるはずですが、令和8年度改定後の要件を見ると、同じ薬局で求められる在籍期間は6か月でした。

本人に求められること

  • 保険薬剤師として3年以上の保険薬局勤務経験(保険医療機関で薬剤師として1年以上働いた経験があれば、上限1年まで算入できる)
  • 届出時点で、その薬局に継続して6か月以上在籍していること
  • その薬局で週31時間以上勤務していること(育児や介護などで所定労働時間を短縮している場合は、週24時間以上かつ週4日以上)
  • 研修認定を取得し、医療に関する地域活動へ参加していること

誤解しやすい点です。この3年は、転職先の薬局で3年間働くという意味ではありません。産前産後、育児、介護休業から同じ薬局へ復職する場合は、休業前の在籍期間も合算できます。

薬局側に求められること

求人を見るときにもう一つ確認したいのが、薬局側の施設基準です。次のどちらかを満たさなければなりません。

  • 週31時間以上勤務する保険薬剤師について、その勤務を継続している期間が平均1年以上であること(派遣の薬剤師も含まれる)
  • 管理薬剤師が継続して3年以上在籍していること

患者との会話がほかの患者に聞こえないよう、パーテーションなどで区切った独立したカウンターを設けるなど、プライバシーへの配慮も求められています。

面談で「この店舗の管理薬剤師は何年目ですか」と聞くのは、雑談ではなく制度上の意味があります。

3年以上なら施設基準の一つはそれで満たせるでしょう。3年未満でも職場に問題があるわけじゃなくて、その場合はもう一方の基準を満たしているかを聞けばいいだけです。

管理薬剤師は、書面で意見を述べる義務のある役職です

求人票で管理薬剤師の募集を見つけると、役職手当の金額に目が向きます。無理もないです。ただ、その手当と一緒に引き受ける仕事は、店舗内の取りまとめだけではありません。管理薬剤師が何をする立場なのかは法律に書かれています。

薬局開設者が薬剤師ではない場合、その薬局で薬事の実務に従事する薬剤師から管理者を指定し、実地に管理させる必要があります。

管理者には、その義務を遂行するために必要な能力と経験も求められます。管理する対象も具体的です。

  • 薬局に勤務する薬剤師やその他の従業者を監督すること
  • 構造設備、医薬品その他の物品を管理したうえで、薬局の業務に必要な注意をすること
  • 薬局の業務について必要があれば、薬局開設者に対して書面で意見を述べること(法律上の義務)

管理薬剤師の手当は、この監督や管理、意見を述べる責任と一緒に見ることになります。

配置にも制約があり、管理薬剤師は原則として、その薬局以外の場所で薬局の管理やその他の薬事に関する実務を兼ねることができません。例外は、都道府県知事の許可を受けた場合だけ。

管理薬剤師が抜ければ、社内の別の薬剤師を管理者にするか、外から採用する必要が出てきます。管理薬剤師の求人が急いでいるときは、この事情が背後にあることもあります。

2024年末の統計では、届出薬剤師329,045人のうち、薬局勤務の管理者は49,537人(15.1%)、管理者以外の薬局勤務は132,085人(40.1%)でした。

管理薬剤師の求人を検討するなら、手当の額だけで見なくてもいいはずです。「管理薬剤師が書面で意見を出した場合、会社ではどのように扱っていますか」と面談で聞いてみると、法律上の役割を会社が実際にどう扱っているのかが見えてくるでしょう。

「地方は薬剤師が足りない」を、都道府県の数字で確かめる

求人を探していると、「地方は薬剤師が少ない」という説明を目にすることがあります。本当でしょうか。都道府県別の数字を実際に並べると、都市部ほど薬剤師が多く、地方ほど少ないという単純な順番にはなっていませんでした。

2024年末の統計では、薬局・医療施設に従事する人口10万人当たりの薬剤師数は全国210.6人です。

多い都道府県(上位3都道府県):

  • 徳島県 256.6人
  • 兵庫県 245.6人
  • 東京都 240.3人

少ない都道府県(下位3都道府県):

  • 沖縄県 155.3人
  • 福井県 170.4人
  • 青森県 175.5人

東京都が最多ではなく、最少も地方をひとまとめにできる並びではありません。薬剤師の人数だけでも、店舗の忙しさまでは分かりません。

別の厚生労働省資料にある令和元年度の処方箋受取率は全国74.9%で、最も高い秋田県が88.9%、最も低い福井県が53.9%と、県ごとの幅が大きいです。

福井県は人口当たりの薬剤師数が下から2番目ですが、処方箋受取率も全国で最も低くなっています。

薬局で受け取る処方箋の割合自体が地域によって違うため、薬剤師が少ない県ほど1人当たりの負担が大きいとは判断できません。

将来の需要も都道府県で同じではありません。

薬局に従事する薬剤師の需要推計は、全国が2020年の19.0万人から2030年に21.1万人、2045年に20.6万人。鳥取県は774人から843人のピークを経て775人へ、沖縄県は1,521人から1,903人へという推計でした。

鳥取県は横ばいではなく、全国と同じく途中で増えたあと減る推計です。沖縄県のほうは増え続けているため、いまの人数だけでなく、いつの時点の数字なのかで見え方が変わります。

なお、この数字は処方箋1枚あたりの業務量が今後も一定と仮定した機械的推計です。

転職先を県名だけで判断するより、前の節で見たように、その店舗の処方箋枚数を薬剤師数で割って確認するほうが具体的でしょう。そこに地域の今後の需要を重ねると、いまの人数だけでは見えない採用の事情まで読めます。

ここまでの確認には、求人票に書かれていない数字がいくつも出てきます。1日平均の処方箋枚数、常勤の人数、いま算定している加算。応募前に自分で企業へ問い合わせるのは正直ハードルが高いので、担当者に代わりに確認してもらうのも一つの手。

企業の求人が出てこないのは、企業で働く薬剤師そのものが減っているからです

薬剤師向けの転職エージェントに「製薬企業などの企業求人を探しています」と伝えたあと、紹介がほとんど出てこなかったり、連絡が遅くなったりすることがあります。焦りますし、不安にもなる場面です。

「転職エージェント使うなら自分の意思が明確にないと厳しいかもしれない/薬剤師向け転職サイトで企業探してるというと音信不通になる、2週間後に返事が来る扱いを受けた。/あとはエージェントが扱ってない転職先のネガティブなところを30分くらい電話で言ってくるから無視できる精神いる」

個人の投稿 x.com (2026-09-07)

2024年末の統計を2022年と比べると、2年間で全体は増えたのに企業だけ減っています。医薬品関係企業は34,184人(届出薬剤師全体の10.4%)で、2,902人・7.8%の減少。

届出薬剤師の総数は329,045人で5,355人・1.7%の増加、薬局の従事者は197,437人で6,702人・3.5%の増加、病院は57,595人で1,010人の増加でした。

平均年齢を並べても、企業は他より高めです。薬局46.8歳、病院42.5歳に対して、医薬品関係企業は49.1歳。

この差が生じている理由までは、この数字だけでは分かりません。

転職エージェントで働いていたとき、私たちは求職者が入社して初めて手数料を受け取る仕組みで仕事をしていました。手元に紹介できる求人がない領域では成約まで進めにくいため、求人を持っている領域の求職者が優先されやすくなるんです。

連絡が遅くなったとき、それだけで自分の経歴への評価だと受け取る必要はありません。

同じ状況は薬剤師以外の職種でも起きています(求人を紹介されない)。

企業への転職を希望するなら、最初の面談で「企業の求人を今何件持っていますか」と聞いてみてください。

企業求人を扱っているかではなく、現在紹介できる求人を持っているかまで確認すれば、そのエージェントに相談を続けるかを早い段階で判断できるでしょう。

今の採用のしやすさがいつまで続くか、国は推計を出しています

転職先を探していると、今紹介されている求人の数や条件に目が向きます。ただ、今回の転職先で10年後も働くなら、その頃の薬剤師需要がどう見込まれているかも一度見ておいて損はありません。

厚生労働省の需給推計では、需要は2020年の32.0万人から2045年に33.2万人(業務内容が変わることまで考慮した推計では37.2万〜40.8万人)。

供給は2020年の32.5万人から2045年には45.8万人で、今後の入学者減を考慮しても43.2万人です。

薬局だけを見ると動きがもう少し具体的です。薬局に従事する薬剤師の需要は2020年の19.0万人から増え、2030年の21.1万人がピークで、その後は2045年に20.6万人となる推計でした。

検討会でも、おおむね今後10年間は需要が増えるものの、その後は人口減少の影響を受け、業務の充実による需要増を見込んでも将来は供給が上回ると予想されています。

供給側を見ると、薬剤師国家試験の合格者は第102回から第106回まで平均9,634人で、人口減少を考慮した推計ではこれが2045年に約7,700人まで減る想定になっていました。

現場でも、同じ方向の実感は書かれています。

「薬剤師は過剰だから国試で人絞ってる/わけだから、待遇改善すれば」

個人の投稿 x.com (2026-08-23)※「国試で絞っている」は投稿者の見立てで、当サイトは検証していません

これは2021年時点で複数の仮定を置いて計算した試算で、将来を確定する数字ではありません。それでも、今の採用環境がそのまま続く前提では考えないほうがよさそうです。正直、ちょっと嫌な数字です。

転職先を見るときは条件だけでなく、そこで働いたあとに自分に何が残るのかも見ておいたほうがいいと思います。

この記事に出てきた範囲で言えば、在宅の経験、管理薬剤師の経験、それから研修認定。前の節で見たとおり、かかりつけ薬剤師の要件にも在籍期間と研修認定が入っています。

エージェント側にも、登録前に確かめられる事実があります

転職エージェントへ登録する前にも、公開情報だけで確認できることがあります。地味ですけど、口コミの評価を比べる前に、運営会社の名前を確認して、公的な一覧と許可番号を見てみてください。

医療・介護・保育分野には、厚生労働省の委託事業として「適正な有料職業紹介事業者の認定制度」があります。認定事業者は公式サイトで公開されています。

2026年9月9日時点では、3分野の認定94件のうち、医療分野で薬剤師を認定職種に含む会社は9社でした。認定は任意なので、一覧にない会社が違法、不適切という意味じゃありません。

制度そのものの説明は看護師の転職エージェント選びに書いています。

薬剤師を認定職種に含む9社(2026-09-09時点・全数)

企業名 本社 認定番号 認定期限 サービスブランド
株式会社アイデム 東京都新宿区 01044(1) 2027-03-31 アイデムエージェント転職
株式会社ウイングメディカル九州 福岡県北九州市 01042(1) 2027-03-31 ウイングメディカル九州
エニーキャリア株式会社 東京都中央区 01027(2) 2028-02-29 ファーマキャリア
エムスリーキャリア株式会社 東京都港区 01013(2) 2028-02-29 薬キャリAGENT ほか
株式会社CMEコンサルティング 東京都新宿区 01035(2) 2029-03-31 CME薬剤師 ほか
株式会社ツナガリキャリア 大阪府大阪市 01003(2) 2028-02-29 ツナガリキャリア薬剤師
株式会社トライトキャリア 大阪府大阪市 01016(2) 2028-02-29 薬剤師ワーカー ほか
株式会社マイナビ 東京都中央区 01014(2) 2028-02-29 マイナビ薬剤師 ほか
株式会社メディカルリソース 東京都港区 01015(2) 2028-02-29 ファルマスタッフ ほか

有料職業紹介事業と労働者派遣事業の許可も確認できます。たとえば、当サイトが提携しているファルマスタッフの運営会社はメディカルリソースで、有料職業紹介事業の許可番号は13-ユ-010743、労働者派遣事業の許可番号は派13-010770。

日本調剤のグループ企業で、2000年2月設立、拠点は12です。

派遣の許可を持つ会社なら、正社員だけでなく派遣という働き方も同じ窓口で相談できます。派遣を扱っていない会社へ派遣の相談をしても、そこから求人は出てきません。時間がもったいないです。

同社の公開求人は、2026年9月9日の表示で52,456件。求人件数は会社によって数え方が違うので、この数字を別の会社と並べて順位をつけることはできません。

件数を見るなら、何日時点で、その会社がどう表示していた数字なのかまでセットで見ないと意味がありません。

登録先を選ぶときは、会社名を認定一覧で確認し、許可番号と派遣を扱える会社かを調べる、という順番なら、口コミだけでは分からない事実を登録前に確かめられます。

面談の前に、手元で決めておくこと

面談の日程が決まったら、ランキングをもう一度見比べるより、聞くことを手元に書き出しておくほうが役に立ちます。紙一枚でいいです。ここまでの節で出てきたものを、求人、店舗、エージェントの順に並べ直します。

求人について確認すること

  • 1日平均の処方箋枚数と在籍薬剤師の人数を聞き、1人当たり何枚になるかを計算する
  • 店舗の営業時間を確認する
  • 今回の募集が退職者の補充なのか増員なのかを確認する

店舗の説明で確認すること

  • 現在取っている加算を2026年6月の改定後の名前で説明できるかを確認する
  • 管理薬剤師が何年目なのかを聞く
  • 書面で会社に意見を出した場合にその意見がどう扱われるのかを聞く

エージェントについて確認すること

  • 自分が希望する領域の求人を現在何件持っているかを聞く
  • 企業を希望するなら企業求人の件数を聞く
  • 派遣を考えているなら運営会社が派遣を扱えるかを確認する
  • 登録前に、運営会社名・有料職業紹介事業の許可番号・労働者派遣事業の許可の有無を調べる

ここまで聞けるなら、比較記事の1位がどこかは決めなくていいです。1社に絞る必要もありません。

複数のエージェントに同じ聞き方をしてみてください。持っている求人の数と、店舗についてどこまで把握しているかの差が、そのまま出てきます。

順位を見比べて迷うより、その答えを比べたほうがたぶん早いですし、迷っている時間のほうがもったいないです。


この記事で使った資料(すべて2026-09-09取得)

薬剤師の平均年収と有効求人倍率は、この記事では扱っていません。賃金構造基本統計調査の職種別データを一次資料から取得できず、一般職業紹介状況の職業別は「医師,薬剤師等」の合算区分で薬剤師単独の値ではないためです。