活動を始めて3ヶ月。

決まらない。

土曜の朝に求人サイトを開いて、条件を打ち込んで、上から順に見ていって、先週も見た求人ばかりが並んでいるのを確認してタブを閉じる。応募のボタンを押す気力がわいてこない。そんな朝が何回か続くと、市場が悪いわけでも運が悪いわけでもなく原因はぜんぶ自分のほうにあるような気がしてきて、求人サイトを開くこと自体がだんだん怖くなってきます。

こういうとき、多くの人が最初にやるのが応募数を増やすことです。私はエージェント側でその選択を何度も見てきましたが、応募数を倍にしたことで状況が抜けたケースはあまり多くありませんでした。むしろ疲れが増えて、書類が雑になって、通過率がさらに下がる。増やす前にやることがあります。

まず、どこで止まっているかを数える

立て直しの第一歩は、気合いじゃない。

数え直しです。

紙かスプレッドシートに、これまでの実績を書き出してください。

項目は4つ。

  • 応募した数
  • 書類が通った数
  • 一次を通った数
  • 最終まで行った数

数えるだけ。

この4つの数字を並べるだけで、半年ぶんの活動のどこに穴が空いているのかがだいたい1箇所に絞れます。

全部が悪いことは、実はあまりないんです。

止まっている場所で、打ち手がまったく変わる

1 書類が通らない 書類の中身か、応募先の選び方。母集団の問題であることが多い 2 一次で落ちる 話す材料の準備か、経歴と求人のズレ 3 二次以降で落ちる 実力ではなく、条件・配属・タイミングが絡む 4 最終で落ちる 会社側の事情が入る。ここは自分で動かしにくい

書き出してみると「そもそも応募数が足りていない」と気づく人もいます。3ヶ月で7社なら、まだデータが少なすぎて何も判断できません。

逆に40社出して書類が2社しか通っていないなら、あと40社足しても同じことが起きます。

ここが本題です。

応募先の並びを見ると、たいてい理由が見える

書類が通らないとき、真っ先に疑われるのは書類の中身です。

でも、そこじゃないことが多い。

私が見てきた範囲では、書類そのものより応募先の選び方のほうが原因だったケースが目立ちました。

自分の応募リストを、上から順に並べてみてください。

業界も職種もバラバラになっていませんか。あるいは、名前を知っている会社ばかりが並んでいませんか。前者と後者では、書類が通らない理由がまったく別のところにあります。

前者だと、応募先ごとに書類を書き分けられていない可能性が高いです。本人にとってはいちばん自信のある経験でも、その業界やその職種にとっては何ひとつPRになっていないことが実際にあります。これは応募先ごとに宛先を変えないと、どうしても起きます(自己PRの書き方)。

後者は倍率の問題。

応募が同じ層に集中している会社ばかりなので、通過率が下がる。

母集団を入れ替えるほうが、書類を磨き直すよりずっと早く効くことがあります。同じ職種・同じ条件のまま、名前を知らない会社を10社足す。 それだけで書類の通過率が動くのは珍しくありません。私はエージェント側で、この入れ替えだけで一気に決まった人を何人も見ています。

止まっているのは書類ではなく、応募先の並びかもしれない(写真はイメージ)
止まっているのは書類ではなく、応募先の並びかもしれない(写真はイメージ)

応募先の並びを見直すときは、1件ずつ同じ欄を見ると差が出ます。見る欄は求人票チェックリストに並べました。

面接まで行くのに落ちるなら、ズレの位置が違う

書類は通るのに、一次で落ちる。

この場合、書類のほうは機能しています。

ズレの位置が違います。

多いのは、書いてあることと話す内容が噛み合っていないパターンです。書類では「仕組みを作った経験」を売っているのに面接では日々の実務の話ばかり出てくる。読んだ側は肩透かしを食らいます。

もう1つ。

深掘りで答えが浅くなるケース。用意した答えは滑らかなのに、一段掘ると急にぼやける。私は評価する側で、これを何度も見ました。

暗記が悪いのではありません。 準備してくること自体は前向きに評価していました。問題は暗記した文章の下に自分で考えたことが無いときに起きます。掘られてもズレないなら暗記は有効な準備です。

だから立て直しでやるべきなのは、想定問答の数を30問から50問に増やすことじゃありません。すでにある答えを1つ選んで、なぜその判断をしたのかを自分で3回掘り下げてみる。 30分で終わります。それだけで面接の手触りが変わりますし、掘り方を体が覚えると他の質問にも同じやり方が使えるようになります(面接に落ち続けたら)。

エージェントからの連絡が減ったのは、あなたのせいではない

長引くと、こういうことが起きます。最初は毎週来ていた連絡が月に1回になる。

きついです。

本当に。

見捨てられた感じがする。

構造を書いておきます。エージェントの現場では月末が近づくと優先順位が動きます。早く決まりそうな人が前に出る。希望に近い求人があって意思決定が早い人。離職済みで転職しないといけない人。迷っている人は月末に劣後しやすいです。

これは能力の評価じゃないんです。数字を追う時期の、業務の優先順位の話です。

ただし1つだけ気をつける点があります。

転職しない感じ」を出し続けると、月末に限らず後回しになる。 長引いて疲れてくると返信が遅くなります。面談の日程調整も後ろ倒しになる。担当者の画面からは、動く気がない人に見えます。

対策はシンプルです。

疲れていることを、正直に言う。そのうえで「動く前提で情報は集めています」と伝える。私はエージェント側で、こう言ってくれる人の優先度は落としませんでした。動きが読めるので。

担当を替える手もあります。

それでも噛み合わないなら、担当者を変えてもらうのは普通の手です。長引いた活動で担当者が固定されたままだと、紹介の引き出しがそもそも尽きていることがあります(担当者の変え方)。

エージェントを増やすか替えるかで迷っているなら、エージェント診断の4問に答えると、いまの条件で候補になる会社が2〜3社出ます。費用はかかりません。

条件を下げる判断は、順番を決めてからやる

半年動くと、条件を下げようかという考えが出てきます。

出てきて当然だと思います。

下げること自体は悪い判断じゃない。 問題は焦って下げると全部いっぺんに下げてしまうことです。年収も勤務地も仕事内容も。そうやって決めた転職は入社後に「これじゃなかった」となりやすい。

私はエージェント側で、離職後の焦りから年収も勤務地も仕事内容も一度に下げて決めてしまった人を何人も見てきました。数ヶ月後にまた相談が来ることがあります。

下げるなら順番を先に決めてください。譲れないものを2つだけ残す。それ以外から順に下げる。2つの決め方は転職の軸のつくりかたに書きました。

長引いたときの立て直し。効く手/効きにくい手

効きにくい 応募数を2倍にする 職務経歴書を全部書き直す 想定問答を50問に増やす 条件をまとめて下げる 効きやすい 詰まっている工程を1つ特定する 応募先の母集団を入れ替える 答えを1つ選んで、3回掘る 下げる条件の順番を先に決める

位置の話です。

右側はどれも量ではなく位置を変える手です。長引いたときほど量を足したくなります。でも効くのはたいてい位置のほうでした。

止まるのも、選択肢のうち

最後に、実務ではないことを1つ。

止まる話です。

実務ではないので、要らなければ飛ばしてください。ただ半年やって消耗しきっている人には、たぶんこの節がいちばん効きます。

半年動いて疲れ切っているなら、1ヶ月まるごと止めていいと思います。

活動を止めることと、諦めることは別です。

私が採用側にいて分かったのは、消耗しきった状態で受ける面接は、たいてい通らないということでした。声のトーンも、話の熱量も落ちます。そして落ちるとさらに消耗して、次の面接の質がまた下がる。この循環に入ってしまうと、応募数を増やせば増やすほど傷だけが増えていきます。

1ヶ月止めて、そのあいだに数え直しだけやる。どこで止まっているか。応募先の並びはどうか。譲れない2つは何か。紙1枚で終わります。

転職活動が長引いたのは、あなたの市場価値が低いからとは限りません。応募先の母集団がずれているだけ。詰まっている工程が1つ放置されているだけ。私が見てきた範囲では、そういうケースのほうがずっと多かったです。

数え直しからで大丈夫です。 全体の地図が要るなら転職活動の進め方へ、相談相手の選び方はこちらにまとめました。