介護の「おすすめ○選」記事を調べていて、すでに存在しないサービスが現役として載っている記事を複数見つけました(後半で実測日つきで書きます)。

それから、介護分野には厚労省が関わる事業者認定の制度があるのに、ランキング記事でそれに触れているものがほとんどない。だからこの記事は、公開データを一つずつ確認するところから始めます。

エージェントという商売の仕組み自体は、業界が変わっても同じです。そこは経験から書ける部分なので、別の記事にまとめてあります。この記事では介護分野で確認できた事実に絞ります。

口コミについて先に断っておきます。今回、原文と出典の両方を確認できた口コミは4件しかありません。介護系の口コミサイトは外部からの取得が難しく、集めきれませんでした。少ない口コミを膨らませて書くことはしません。4件は4件として、後半にそのまま載せます。

この記事に書いたのは、厚生労働省の公的データ、各社の公式サイトで確認できたこと、出典つきの口コミの原文。この3つです。調査日はすべて2026年8月12日。求人数などは日々変わるので、参考値として読んでください。

ランキングより先に見てほしいもの。厚労省委託の「適正事業者」認定

介護のエージェント選びで、たぶん一番知られていなくて、一番使える事実がこれです。

医療・介護・保育の職業紹介には、厚生労働省の委託事業として「適正な有料職業紹介事業者」の認定制度があります。運営は一般社団法人日本人材紹介事業協会。法令遵守を含む必須基準を満たした会社が、分野別(医療・介護・保育)に認定されて、公式サイトで公表されています。

2024年度の認定からは、就職後6か月以内に離職した場合の返戻金条件(施設側に手数料の一部を返す仕組み)が基準に入りました。早期離職で泣き寝入りになりにくい設計かどうかが、認定の条件になっているということです。

今回の調査で、介護分野の認定を個別ページで確認できたのは次の6社です。

認定を確認できた会社 関連サービス
レバウェル株式会社 レバウェル介護(旧きらケア)
株式会社エス・エム・エス カイゴジョブエージェント/ウェルミージョブ
株式会社トライトキャリア 介護ワーカー
株式会社マイナビ マイナビ介護職
株式会社ツクイスタッフ ツクイスタッフ
株式会社ウィルオブ・ワーク ウィルオブ介護

ここで注意がひとつ。認定は任意の制度です。認定を取っていない会社が悪質という意味にはなりません

認定一覧は全41ページあり、今回すべてを確認できてもいません。だから「この6社だけが認定」とも書けません。言えるのは、この6社は認定ページを直接確認できた、というところまでです。

それでも、根拠の出どころが不明なランキングを見比べるより、厚労省の基準で認定された会社かどうかを公式サイトで引くほうが、確認できる材料としては固いと思います。認定一覧は誰でも無料で見られます。

給料の話を、数字でします

介護の転職で一番知りたいのはここだと思うので、厚労省の実数を先に置きます。

この節の数値はすべて、処遇改善加算を取得している事業所の、月給・常勤の介護職員の平均給与額(基本給+手当+一時金の月換算、令和6年9月時点)です。

資格で月給がどれくらい違うか

保有資格 平均給与額(月) 平均勤続年数
介護福祉士 350,050円 10.4年
実務者研修 327,260円 6.9年
介護職員初任者研修 324,830円 8.8年
保有資格なし 290,620円 5.8年

資格なしと介護福祉士の差は月59,430円です。ただし、この表をそのまま「資格を取れば6万円上がる」と読むのは間違いです。

介護福祉士のほうが平均勤続年数が長い(10.4年と5.8年)ので、差の中には経験年数の分が混ざっています。それでも、資格が給与テーブルの上の段に乗るための条件になっていることは、この並びから読み取れると思います。

ちなみに介護福祉士の受験ルートは4つあり、働きながらなら「実務経験3年以上+実務者研修修了」が基本の道です。

施設の形態で月給がどれくらい違うか

同じ調査から、施設形態別の平均給与額です。

サービス種類 平均給与額(月)
介護老人福祉施設(特養) 361,860円
特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム等) 361,000円
介護老人保健施設(老健) 352,900円
訪問介護 349,740円
グループホーム 302,010円
通所介護(デイサービス) 294,440円

特養とデイサービスの差は月67,420円。同じ「介護職員」の求人でも、施設形態が変わるだけで給与のレンジがここまで違います。年収に直すと80万円規模の差です。

理由をここで断定することはしません。夜勤の有無が効いていそうに見えますが、この統計から夜勤手当の分だけを取り出すことはできないからです。

ただ、求人を探すときに「どの会社のエージェントか」より先に「どの施設形態を狙うか」で給与の土台が決まる、ということはこの表から言えます。エージェントとの面談でも、施設形態ごとの給与差を前提に希望を伝えるのとそうでないのとでは、出てくる求人が変わるはずです。

求人票の給与の裏にある「処遇改善加算」

もうひとつ、介護の求人票を読むうえで知っておいたほうがいい制度があります。令和6年6月に一本化された「介護職員等処遇改善加算」です。

事業所が加算を取ると、職員の賃金改善に充てるお金が介護報酬に上乗せされます。取得している事業所は全体の95.5%。ただし加算には区分があって、一番上の加算Ⅰを取っている割合は施設形態で大きく違います(令和6年9月30日時点、同処遇状況等調査)。

  • 介護老人福祉施設(特養): 80.1%
  • 介護老人保健施設(老健): 69.7%
  • 訪問介護: 44.5%
  • 通所介護(デイサービス): 36.7%

それから、加算のお金が基本給に乗るのか、手当や賞与で来るのかは事業所ごとに違います。実際、介護職員の平均給与額の前年からの増加13,960円の内訳はこうでした。

  • 基本給: +4,240円
  • 手当: +8,330円
  • 一時金: +1,390円

増えた分の6割は手当でした。基本給が上がるのと手当で来るのとでは、賞与や昇給の計算に効くかどうかが変わります。

面接で「処遇改善分はどの費目で支給されますか」と聞く価値はあると思います。これは特定のエージェントに聞かないと分からない情報ではなく、応募先に直接聞けることです。

エージェントがいくらもらっているか。実額を公開している会社が1社ありました

エージェントは求職者からお金を取りません。無料で使えます。ではどこから売上が出ているかというと、採用した施設側が払う紹介手数料です。

ここまではどの業界でも同じ仕組みです。

介護分野で珍しいのは、手数料の上限額を公式サイトで実額開示している会社を確認できたことです。ジョブメドレーを運営する株式会社メドレーの、職業安定法第32条の13に基づく開示ページです。

「求職者からの手数料は一切頂きません。」

「成功報酬 当該求職者の就職後1年間に支払われる賃金(内定書や労働条件通知書等に記載されている額)の100%または1,000,000円のうちいずれか高い方」

これは法令に基づいて届け出た上限額で、毎回この額を取っているという意味ではありません。

実際の水準は、厚労省の「人材サービス総合サイト」に各社が職種別の平均手数料率を載せる義務があり(2025年4月から)、そこで確認できます。厚労省のリーフレットには、福祉・介護の専門的職業で20.0%という表示例が出ています。

求職者側にとっての意味はこうです。あなたが紹介経由で入社すると、施設はあなたの年収の一定割合をエージェントに払います

だから施設側は、紹介経由の応募者に対して、直接応募やハローワーク経由より慎重になることがあります。エージェントを使うこと自体は悪くありませんが、この構造は知ったうえで使ったほうがいいと思います。

もうひとつ。厚労省は、医療・介護・保育の職業紹介で契約や利用料金を巡るトラブルが発生していると公式文書に明記していて、労働局に専用の相談窓口も置いています(同リーフレット LL070729需01)。国がわざわざ名指しで注意喚起している分野だ、ということです。

「おすすめ○選」記事のサービスが、もう存在しないことがあります

これはこの記事を書くきっかけになった話です。2026年8月12日に、介護系サービスの公式ドメインを一つずつ開いて確認しました。結果がこれです。

  • 「カイゴジョブ」は「ウェルミージョブ」に改称されていました(kaigojob.com のページ表記が「ウェルミージョブ(旧カイゴジョブ)」)
  • 「かいごGarden」のドメイン(kaigo-garden.jp)は、ツクイスタッフのサイトに自動転送されます
  • 「きらケア」は「レバウェル介護」に改称済みです
  • 「ミラクス介護」のサービスサイトは、運営会社のコーポレートサイトに転送され、サービスが現存するか確認できませんでした
  • 「介護求人ナビ」の旧ドメイン(kaigokyuujin.com)は、ドメイン販売業者のページに転送されます。運営会社のサイトも開けませんでした

つまり、古い比較記事に載っている名前で検索して出てきたサイトが、別のサービスに変わっていたり、もう売りに出されていたりします。改称や統合そのものは悪いことではありません。問題は、それを反映していない「おすすめ○選」記事が今も検索上位にあることです。

登録する前に、公式ドメインを自分で開いて、運営会社名と許可番号(後述の表にまとめました)を確認する。手間は数分ですが、これだけで古い情報に乗る事故は防げます。

知られていないわりに効く、3つの公的ルール

介護に限らず職業紹介事業の全体に効くルールですが、介護は求人の動きが速い分野なので、知っているかどうかの差が大きいと思います。

ひとつ。6か月以内に辞めた人の数は公開されている

エージェントは「紹介で就職した人のうち、6か月以内に離職した人の数」を公開する義務があります。厚労省の「人材サービス総合サイト」に載るのは次の3つです(職業安定法第32条の16第3項)。

つまり、そのエージェント経由で入った人がどれくらい早く辞めているかを、国のサイトで自分で調べられます。今回確認できた範囲を超えて数字は出さず、自分で調べられる方法があることまでにとどめます。

ふたつ。お祝い金は原則禁止になっている

2025年1月1日から、職業紹介事業の許可条件に次の2つが追加されました。

2025年4月からは求人サイト側にも金銭提供の原則禁止が広がっています。介護の求人サービスで「お祝い金○万円」を今も大きく掲げているところがあれば、制度の前提が変わっていることを疑う材料になります。

みっつ。入社後2年間は転職を勧めてはいけない

紹介で正社員入社した人に、そのエージェントは2年間、転職を勧めてはいけません。入社して半年で同じ会社から別の求人が届いたら、それは許可条件に反している可能性があります。

民間のサービスを使う側で候補を絞るなら、エージェント診断が4問で2〜3社まで出します。

介護は民間エージェント以外に、公的な無料ルートがあります

介護関係職種の有効求人倍率は4.08倍です(令和6年度。全職業は1.14倍)。

求人が求職者の4倍ある計算で、数だけならどこでも見つかります。だからこそ、求人が多いことと良い求人が多いことは別だ、という前提で探す必要があります。

そのうえで、探す経路は民間エージェントだけではありません。

  • ハローワーク。主要なハローワークには医療・福祉向けの「人材確保対策コーナー」があります(出典: 上記厚労省リーフレット LL070729需01)
  • 福祉人材センター・バンク。都道府県の社会福祉協議会が運営する公的な職業紹介で、「福祉のお仕事」サイトに27,101件の求人が出ていました( https://www.fukushi-work.jp/ 確認 2026-08-12)

公的ルートは施設側に紹介手数料が発生しません。手数料の構造が採用側の見え方に影響しうることは先に書いたとおりなので、民間と公的の両方を並行して使う選択肢は持っておいていいと思います。

主要サービス一覧。確認できたことだけを載せます

並べ方は種別ごとです(この事情は40代の記事に書いたものと同じです)。かわりに、2026年8月12日時点で公式サイト等で確認できたことをそのまま載せます。

サービス名 運営会社 種別 公開求人数(参考値) 紹介の許可番号 介護分野の適正認定
レバウェル介護(旧きらケア) レバウェル株式会社 紹介+派遣 158,596件※更新表記が2025年6月のまま 13-ユ-309623 確認できた
マイナビ介護職 株式会社マイナビ 紹介 102,451件 13-ユ-080554 確認できた
かいご畑 株式会社ニッソーネット 紹介+派遣 6,249件 27-ユ-020166 確認できず
介護ワーカー 株式会社トライトキャリア 紹介 51,979件 27-ユ-305209 確認できた
カイゴジョブエージェント 株式会社エス・エム・エス 紹介 公開1万件以上(会社表記) 13-ユ-190019 確認できた
ウェルミージョブ(旧カイゴジョブ) 株式会社エス・エム・エス 求人サイト 258,321件 13-ユ-190019 確認できた(同社)
ジョブメドレー 株式会社メドレー 求人サイト+紹介 542,712件※全分野合計 13-ユ-304334 確認できず
ウィルオブ介護 株式会社ウィルオブ・ワーク 紹介+派遣 確認できず 13-ユ-080459 確認できた
ツクイスタッフ 株式会社ツクイスタッフ 紹介+派遣 133,520件 13-ユ-315584 確認できた
クリックジョブ介護 ライフワンズ株式会社 紹介 確認できず 13-ユ-303765 確認できず
ナイス!介護 株式会社ネオキャリア 紹介+派遣 確認できず 13-ユ-070309 確認できず
コメディカルドットコム セカンドラボ株式会社 求人サイト 275,158件※全分野合計 確認できず 確認できず
福祉のお仕事 都道府県社会福祉協議会 公的無料紹介 27,101件 公的機関のため対象外

表の読み方で、大事な注意が4つあります。

  • 求人数は各社が自社サイトに表示している数字の転記で、数え方が社ごとに違うため横比較はできません。ジョブメドレーとコメディカルドットコムは介護以外(看護・保育など)を含む全分野の合計です。
  • 「許可番号 確認できず」「認定 確認できず」は、無許可・未認定という意味ではありません。当サイトが公式ページ等で確認できなかった、という意味に限ります。
  • 許可番号の先頭2桁は許可を出した労働局です(13=東京、27=大阪)。番号が27だから怪しいということはありません。
  • レバウェル介護の求人数は、サイト上の更新表記が2025年6月のままでした。1年以上更新されていない可能性があります。

このほか、次のサービスは表から外しました。理由は前の節のとおりです。

  • かいごGarden(ツクイスタッフに統合とみられる)
  • ミラクス介護(現存を確認できず)
  • 介護求人ナビ(現存を確認できず)
  • e介護転職(現存を確認できず)

口コミは4件しか集められませんでした。その4件を載せます

今回、原文と出典URLの両方を確認できた口コミはYahoo!知恵袋の4件だけです。介護系の口コミサイトは外部からの取得が拒否される作りになっていて、原文を確かめられませんでした。

原文を確認できていない引用を載せることはしないので、少ないままこの4件だけ載せます。件数が少ないので、ここから各社の評判の良し悪しを結論づけることはできません。

相談の中身は「連絡がしつこい」「やめられない」に寄っていました

「介護求人見てて、なんか進んだうちに勝手に介護ワーカーに登録されました それから電話が鳴り止みません メッセージに電話をかけてこないでほしいことをお伝えしましたが、なんでこんなにしつこいんでしょうか?」

Yahoo!知恵袋(取得 2026-08-12) detail.chiebukuro.yahoo.co.jp

「断っても営業の電話がかかってくるのです。因みに転職会社です」

Yahoo!知恵袋・介護ワーカーについての相談の補足(取得 2026-08-12) detail.chiebukuro.yahoo.co.jp ※着信拒否しても別の番号からかかってくる、という相談です

「どの会社も、道端で拾った石ころを売る会社です。」

Yahoo!知恵袋・レバウェル介護/かいご畑/マイナビ介護職とハローワークの違いを尋ねた質問へのベストアンサー(取得 2026-08-12) detail.chiebukuro.yahoo.co.jp

3件目は回答者の意見であって事実の証言ではありません。ただ、紹介会社は求人を右から左に動かして手数料を得る商売だ、という見方が利用者側にあることは分かります。

4件目は、レバウェル介護の退会手続きが進まないという相談です。回答の中で公式の案内が引用されていました。

「退会や登録解除を行う場合は、担当のキャリアアドバイザーまで直接お電話いただくか、お問い合わせフォーム内のお問い合わせの種類で『退会』を選択してご連絡ください」

Yahoo!知恵袋の回答内で引用された公式ガイダンス(取得 2026-08-12) detail.chiebukuro.yahoo.co.jp

4件から一般化はできませんが、公開の場に出ている相談が「連絡の止め方」と「退会の仕方」に集中していたのは事実です。実用的な自衛策はここから引けます。

登録する前に、連絡手段の希望(電話かメッセージか)を伝えられるか、退会の手順がどこに書いてあるかを確認しておく。連絡がつらくなってから調べるより、入口で確認するほうが楽です。

介護のエージェント選びで、持ち帰ってほしいこと

  • 介護分野には厚労省委託の適正事業者認定があります。今回確認できたのはレバウェル、エス・エム・エス、トライトキャリア、マイナビ、ツクイスタッフ、ウィルオブ・ワークの6社。ただし認定は任意制度で、未認定が悪質という意味にはなりません。
  • 給与は資格と施設形態で数字で違います。資格なし290,620円と介護福祉士350,050円(勤続年数の差を含む)、特養361,860円とデイサービス294,440円。エージェント選びより先に、どの施設形態を狙うかで給与の土台が決まります。
  • エージェントは無料ですが、施設側があなたの年収の一定割合を手数料として払います。メドレーは上限を公式開示していました。
  • 6か月以内離職者数の公開義務、お祝い金の原則禁止、入社後2年間の転職勧奨禁止。この3つの公的ルールは知っておいて損がありません。
  • サービスの改称・統合・消滅が実際に起きています。古い比較記事の名前をそのまま信じず、公式ドメインを自分で開いて確認してください。
  • 出典つきで確認できた口コミは4件だけでした。この記事も含めて、口コミの件数が少ない分野だという前提で読んでください。

紹介を待つだけでなく、介護専門の求人サイトで地域の求人を自分でも眺めておくと、面談で話が具体的になります。