「転職エージェントの反応を振り返ってみると/1回目→紹介できる求人が沢山あります。/2回目→1社目が短期離職なのが気になりますが、まだ若いし沢山紹介できますよ。/3回目→転職回数が気になります。紹介できる求人は限られます。/4回目→短期離職が多すぎます。もう紹介できる求人はありません。」
x.com ・2026-07-09
これを見つけたとき、しばらく手が止まりました。
同じ人が、4回登録しています。1回目と4回目のあいだで、この人の職務経歴書に足された行は「転職した」という事実だけです。それだけで文面がここまで動く。ちょっと怖いです。
私はエージェント側にいた期間があるので、この4行がどこで書き分けられているかは想像がつきます。その説明は別に書きました。ここでやるのは違う話です。
2026年8月に、「紹介できる求人が」「ご紹介できる案件が」という言い回しでXを検索しました。会社名では出てきません。言われた言葉そのもので探すと出てきます。集まったのは12件。多くはないです。
読んでいて分かったことがあります。断り文句は同じ一文なのに、その手前で起きていることが人によってまるで違う。 そこを混ぜると、自分に何が起きたのかが分からなくなります。
経歴が理由だったのか、条件が理由だったのか
まず、いちばん多かったのがこの形です。
「2人目のエージェントは話しやすかったけど、紹介できる求人がほぼ無いって言われた/希望を言い過ぎたかな/つらいなー」
x.com ・2026-06-02
「希望を言い過ぎたかな」。
断られた瞬間に、原因を自分の中に探しにいっています。これはとてもよくある反応です。
同じ「条件」の話でも、こちらは自覚的でした。
「転職するときリモートを絶対条件にした。転職エージェントから「紹介できる求人が少なくなります」と言われたこともある。でも通勤往復3時間の生活を経験した身からすると、あの時間を取り戻せるなら多少の条件は妥協できると思っていた。」
x.com ・2026-06-24
内容は前の人とほぼ同じです。条件を絞ったから母数が減った。違うのは、減ると分かったうえで絞っている点だけです。
条件が動かせない人もいます。
「就活サイトも利用しているけど、/「紹介できる求人がありません。」/の連絡が続く/田舎でバス通勤となると、本当に求人が少ない。/障害者雇用は思っていた以上に狭き門だなと実感中。」
x.com ・2026-08-04
「地方と都会の格差ってすごい。/転職ったって、大体求人自体が少ない。/エージェントに申し込んだって、ご紹介できる案件がありません、ってお断りメールが来るんだから!」
x.com ・2024-07-02
この2件は、通勤圏にある求人の数の話です。書類を直しても増えません。面接を練習しても増えません。
3つのケースで返ってきた文面はほとんど同じでした。でも中身は違います。1つ目は自分で原因を探している。2つ目は自分で選んでいる。3つ目は選べる範囲の外にあります。
同じ文面から、自分がどれなのかは読み取れません。 読み取れないのに、多くの人は1つ目だと思ってしまう。ここが厄介です。
断られたあとで、手のひらが返った人がいる
条件でも経歴でもなく、エージェント側の在庫の都合だったことが分かる投稿もありました。
「10年ちょっと昔、TSRとか言う人売りIT会社にそれやられましたよ。/「今回、ご紹介できる案件がなく採用を見送らさせていただきます」/と連絡が来て、半月後ぐらいに「/ご紹介できる案件がありましたので入社しませんか」と。/丁重にお断りしましたw」
x.com ・2024-11-23
半月です。
変わったのは、この人の経歴ではありません。相手の手元にある案件のほうです。同じ人が、同じ経歴で、2週間後には「紹介できる」側に移っています。断り文句が経歴の評価だったのなら、こうはなりません。
判断の材料が別のところにあると分かる投稿も出てきました。
「こうやって面倒にしてやたらめったらな人をふるい落とすんだろうな。適当にしか入力しなかったエージェントからは「ご紹介できる案件がございません」ってお断りのメールきたもんな。」
x.com ・2025-01-19
これは投稿者本人の推測です。裏は取れていません。ただ、登録フォームをどこまで埋めたかで対応が変わったという体感は、書いておく価値があると思いました。
次のは、少し種類の違う話です。
「転職エージェントで断ってください、直接採用します。その代わり50万支給します。と言われたとこあったけど、こういうの横行してるよな。」
x.com ・2026-08-11
企業がエージェントに払う紹介手数料は、年収の3割前後が相場です。年収500万なら150万。候補者に50万を渡して直接入れたほうが、企業には安く済みます。この投稿が言っているのはその話です。
ただし「横行してる」の部分は、この1件からは確かめられません。
エージェント側の投稿は、材料としての重さが違う
集めているときに、エージェント側のアカウントによる投稿もかなり出てきました。内容は、断られた人を励ますものが多いです。
「大手エージェントで、/「紹介できる求人がない」/と言われた、あなたへ。/それ、真に受けないで。/大手が扱うのは、/大企業と、特定条件を満たす人だけ。/そこから漏れた人が、/市場価値がないわけじゃない。」
x.com ・2026-05-23
内容には私も同意します。
ただ、これは当事者の声ではありません。 大手で断られた人に「真に受けないで」と語りかけているのは、その人たちに来てほしい側です。自分の顧客になりうる相手への発信だという点は、割り引いて読む必要があります。当事者と同じ棚に並べると、材料の重さを取り違えます。
だからこの記事では、12件の当事者と、エージェント側を分けました。
そのエージェント側の投稿で1つだけ、宣伝ではなく仕事の中身を書いたものがありました。
「転職エージェントの仕事は、求人を紹介して面接日を調整することだけではありません。/企業から届いた不採用の結果を伝える。/希望条件では紹介できる求人が少ないと説明する。/応募書類の修正をお願いする。/面接で改善したほうがよい点を伝える。/経験と希望する仕事に差があることを話す。」
x.com ・2026-08-11
「希望条件では紹介できる求人が少ないと説明する」が、業務として並んでいます。断りの連絡は例外対応ではありません。日常業務の一項目です。
あの文面が定型的なのは、定型業務だからです。それだけの話です。
「プロにも匙を投げられるのか」
ここまで断り文句の中身を分解してきました。でも、受け取った人が最初に感じるのは、たぶんこういう話ではありません。
「転職エージェントに「ご経歴だと、紹介できる求人がなくて…」って言われたときの空気、/今でも思い出せる。/プロにも匙を投げられるのか、と思った。」
x.com ・2026-08-05
「プロにも匙を投げられるのか」。
そう聞こえるのには理由があります。エージェントは転職の専門家として目の前に現れます。その専門家が「ない」と言った。だから市場そのものに「ない」と言われた気がする。当然だと思います。
ですが、12件のうち経歴そのものが理由だったと確定できるものは1件もありませんでした。転職回数が積み上がった記録(冒頭の投稿)はあります。それも「その会社の基準では」という但し書きが外せません。
観測できた理由はこうです。地方在住。障害者雇用。リモート限定。条件の絞り込み。登録フォームの記入量。半月で変わった在庫。
「「ご紹介できる案件がありません」を2社から食らって、それでも腐らずエントリーを続けて面接まで辿り着いたの、本当にすごい。50代の転職は簡単ではないと思うけど、こうやって自分で一つずつ扉をこじ開けていく人は応援したくなる。一次面接、うまくいきますように!」
x.com ・2026-07-04
これは本人ではなく、その人を見ていた第三者の投稿です。2社から断られた50代が、そのあと面接まで進んでいます。断られた回数は、次に進めるかどうかとは別の話でした。
次に何を確かめるか
断られた文面から読み取れることは、ほとんどありません。確かめる先は文面ではなく、その手前です。
1つ目。系統の違う会社にもう1社出す。 冒頭の人が4回とも似た反応を受けたのは、たぶん似た会社に出していたからです。大手総合型で止まったなら、特化型は別の在庫を持っています。半月で手のひらが返った例のとおり、在庫は会社でも時期でも変わります。
2つ目。条件を1つも動かしていないかを見る。 リモート限定。勤務地。年収の下限。どれも母数を大きく削ります。分かったうえで守るなら選択です。分からずに守っているなら、選択ではありません。
3つ目。登録情報がどこまで埋まっているかを見る。 これは推測の域を出ません。ただコストはゼロです。先に潰しておいて損はないです。
そのうえで。自分の経歴が実際にどう扱われるかは、1社の反応では分かりません。同じ経歴で複数社に出して、返ってきた求人を並べたときに初めて見えます。
1社が「ない」と言い、別の1社が5件出してきた。それなら在庫の話です。経歴ではありません。どこも同じ反応だった。そこで初めて、条件か経歴かを考える段階になります。
順番が逆にならないように、ということです。
この記事の材料について
- 出典はすべてX(旧Twitter)の公開投稿です。収集日は2026-08-12。「紹介できる求人が」「ご紹介できる案件が」という言い回しで検索しました。会社名での検索では当事者の投稿はほとんど出てきません。
- 集まったのは12件です。全体を代表する数ではありません。 うち11件が本人の投稿、1件(50代の話)は本人ではなく、その人を見ていた第三者の投稿です。投稿年は2024年7月から2026年8月まで幅があります。
- 原文はそのまま転記しています。「/」はXの表示上の改行です。長い投稿はXの表示で末尾が切れている場合があり、その場合も切れたまま載せています。
- 12件のうち、経歴そのものが断りの理由だったと確認できたものは1件もありません。 これは「経歴が理由になることはない」という意味ではなく、投稿からは確認できなかった、という意味です。
- エージェント側アカウントの投稿は、当事者の声とは分けて扱いました。自社への相談を促す発信が含まれます。
- 紹介手数料の相場(年収の3割前後)は業界の一般的な水準です。個別の契約金額は会社ごとに異なります。