登録したのに求人が来ない。あるいは、最初の1週間はどんどん届いたのに、いつの間にか止まった。
こういうとき、まず「自分の経歴に紹介できるものがないんだろう」と考えます。私も同じ順番で考えると思います。でも、エージェント側で実際に何が起きているかというと、たいていは在庫の話ではありません。
紹介が来るかどうかは、求人があるかないかではなく、担当者の持ち時間があなたに割かれるかどうかで決まります。
大手の総合型なら、求人は社内のデータベースで共有されているのが普通です。担当者ごとに在庫が違うわけではない。変わるのは、そこから誰のために検索して、誰に電話をかけ、誰の推薦文を書くかという時間の配り方のほうです(企業担当と求職者担当が同じ人という会社もあり、その場合は担当者が持っている企業の分だけ差が出ます)。
先に一つ断っておくと、「後回しにされている人が何割いる」というような公的なデータはありません。この記事で示せるのは、報酬の仕組みという事実と、実際に投稿された口コミの原文、そしてそこから読者が自分の状況に当てはめられる範囲までです。
担当者の時間が有限であることの、金銭的な理由
エージェントは、紹介した人が入社したときに、採用した企業から手数料を受け取ります。求職者からは受け取りません。ここまでは知られている話です(詳しくは転職エージェントはなぜ無料なのか)。
問題は、その手数料が入社が決まったときにだけ発生することです。面談を3回やっても、求人を50件送っても、決まらなければ売上は1円も立ちません。
実額を公開している会社があります。ジョブメドレーを運営する株式会社メドレーが、職業安定法第32条の13に基づく開示事項として、求人事業者から受け取る手数料の上限をこう書いています。
「成功報酬 当該求職者の就職後1年間に支払われる賃金(内定書や労働条件通知書等に記載されている額)の100%または1,000,000円のうちいずれか高い方」
株式会社メドレー「職業安定法第32条の13に基づく開示事項」 medley.jp (当サイト確認 2026-08-12)
同じページに「求職者からの手数料は一切頂きません。」とも書かれています。
これは届け出上の上限であって、毎回この額を取っているという意味ではありません。実際の水準は、2025年4月1日から職業紹介事業者に義務づけられた職種別の平均手数料率で見ることになります(厚生労働省リーフレット LL061030需01 https://www.mhlw.go.jp/content/001328410.pdf 、当サイト確認 2026-08-12)。厚労省が示す計算式は「求人者から徴収した手数料の総額 ÷ 求職者の予定年収の総額」。つまり手数料は年収に連動します。
ここから、担当者の1日はこうなります。持ち時間は有限で、決まらなければゼロ、決まったときの金額は年収に比例する。すると、時間は「決まりそうな人」と「決まったときに大きい人」の掛け算が高いほうから使われていく。誰かがそう決めたのではなく、成功報酬という仕組みを置くと自動的にそうなります。
「時間が割かれていない」と当事者が気づいた瞬間
ここからは口コミの原文です。会社名は書きますが、担当者個人の資質の話として読まないでください。同じ構造の話が、会社をまたいで同じ形で出てくることのほうが重要です。
いちばん直接的なのは、断りの文面そのものが配分の話になっていた例です。
「「〇〇さんには紹介できる求人が少ないためキャリアアドバイザーとの面談も差し控えさせていただいてる」との返信。なので一切サポートしてもらえず。」「おそらく、内定がもらえそうなスペックと判断した応募者にのみ親身に対応してるのかと思います。」
mècheさん・★1.00・2026.01.28 minhyo.jp
面談を「差し控える」というのは、在庫がないという説明の形をしていますが、実際には時間を使わないという意思決定です。同じ会社の別の投稿者は、それを利用者側の言葉で要約しています。
「一言でいってしまえば、キャリアアドバイザーに見初められた求職者の方以外に対してのサポートはないと思ってください。」
エキゾチックジャパンさん・★1.00・2024.04.09 minhyo.jp
パソナキャリアでは、時間の経過が具体的に書かれた投稿があります。
「おそらく私の望みがない(経歴や年収的にパソナ側にうまみがない、売上にならないと思われたのが大きいと思ってます)からか、2週間目以降ほぼ放置。応募しても2ヶ月放置。」
とくめいさん・★1.00・2023.02.12 minhyo.jp
「2週間目以降」という区切りが出てくるのが特徴です。最初から放置されたのではなく、初期対応はあって、その後に消えている。
type転職エージェントの口コミでは、この現象を指す言葉が投稿者たちの側から出てきます。
「転職の選考状況が悪いと次第に連絡が無くなりフェードアウトされました。」「書類選考で落ちる事が続いた為か、次の求人案内も提示してこなくなりました。」
mikoさん・★1.00・2018.10.26 minhyo.jp
「そのあとの求人紹介が全く来なくて自分から担当者に紹介できる求人がないかとメールを送り(中略)TYPEさんはこっちから言わないと求人を紹介しない状況はどういうことでしょうか。。」「私がアドバイザーにとってお金にならないから相手にしないのかなと思いました。」
KUSOさん・★1.00・2020.02.06 minhyo.jp
最後の一文は、投稿者本人の推測です。ただ、推測の中身は報酬の仕組みと矛盾しません。そして同じ推測を、別の会社の利用者が別の言い方で書いています。
「企業条件を提示するも紹介される企業の8割以上が条件を満たさない物ばかり →経験者を紹介した方が初期年収が高く紹介報酬が高いので、未経験は最低限のコストしかかけるつもり無いんだなって感じます。」
ぽん助さん・★3.00・2024.05.12 minhyo.jp
会社も業界も違う人が、独立に同じ結論に到達している。これは「担当者が冷たかった」では説明がつきません。

「大量に来て、そのあと止まる」も同じ話の裏側
紹介が来ない人がいる一方で、来すぎて困っている人もいます。一見反対の現象ですが、原因は同じところにあります。
「担当者以外からも求人広告が来るのですが、量が多すぎる上に全く希望とマッチしない。冗談でなく一日で200件近く新しい求人が紹介され本当に受けたい企業の求人が薄れる。」
さんたろうさん・★1.00・2026.01.20 minhyo.jp
「最初の面談では担当者の方がすごく頼りになりました。が、その後はAIが選んだ求人案内メールが届くばかり。」
きなこさん・★2.00・2025.08.20 minhyo.jp
大量配信は、人の時間を使わずに接触を維持する方法です。人が選んでいない求人が届いている状態は、紹介が止まっているのとほぼ同じ意味だと考えたほうがいい。むしろ、届いている分だけ気づきにくい。
当サイトがリクルートエージェントの口コミを29件集めたとき、自動配信・AIによる紹介の精度に触れた投稿は10件ありました(収集日 2026-08-12、出典 https://minhyo.jp/r-agent )。同じ29件の中で、求人数の多さ自体を否定している投稿はほとんどありません。不満は量ではなく、量に人が介在していないことに向いています。
自分がどこで止まっているのかを、先に切り分ける
「求人が来ない」とひとまとめにすると、打つ手が決まりません。起きていることは3つに分かれていて、それぞれ次の一手が違います。
どこで止まっているか
面談前で止まっているなら、それはあなたと会社の相性の前に、その会社の入口の設計の話です。断りの連絡まで来ているケースについてはエージェントに断られたときに何が起きているかに、社内でどう判定されているかを書きました。
面談後に細っていったなら、初回面談で渡した情報がそのまま検索条件になったまま更新されていない可能性があります。エージェントの担当者は、面談で聞いた条件を社内のシステムに登録して、そこから求人を引きます。条件が厳しすぎれば当然ヒットしなくなるし、逆に「どこでもいい」と伝えていれば、検索の起点そのものがない。初回で何をどこまで渡すかについてはエージェント面談で話すことに整理してあります。
量は来るが人が選んでいないなら、担当者に対して「この配信は止めて、あなたが選んだものを月に3件でいいから送ってほしい」と言うのが最短です。言われた側からすると、これは面倒な要求ではなく、時間を使う理由が生まれる連絡です。
ここまでが自分で動かせる範囲。ただし、条件を書き換えても、担当者を変えても届く求人が変わらないなら、それはもうそのエージェントが持っている求人の話になります。同じ経歴で、別の会社なら普通に面談に進むということは実際に起きます。
「結局、他のエージェントにも登録して転職が決まりました。私のように、他エージェントとの併用で転職を決める人も多かったようです。」
とうきょうさん・★3.00・2018.10.31 minhyo.jp
自分の経歴でどこが動くのかは、1社の反応だけでは分かりません。同じ職務経歴書を2〜3社に渡して、返ってくる求人の中身の違いを見るのがいちばん早い判断材料になります。では、その2〜3社をどこにするか。
「希望を言い過ぎたかな」と思ったときに、確認したいこと
紹介が止まると、たいていの人は自分の希望を疑い始めます。
「2人目のエージェントは話しやすかったけど、紹介できる求人がほぼ無いって言われた/希望を言い過ぎたかな/つらいなー」
X・2026-06-02 x.com
条件を下げれば紹介は増えます。それは確かです。ただ、下げる前に見ておいたほうがいいことがあります。どの条件が効いているのかです。
勤務地・年収・職種・働き方のうち、求人の母数を大きく削るのは、たいてい1つか2つだけです。全部を少しずつ緩めると、何が効いたのか分からないまま希望から遠い求人だけが残ります。担当者に「私の条件のうち、いちばん件数を減らしているのはどれですか」と聞けば、これは検索すれば分かることなので答えが返ってきます。
そして、本当に母数が少ない場合もあります。
「就活サイトも利用しているけど、/「紹介できる求人がありません。」/の連絡が続く/田舎でバス通勤となると、本当に求人が少ない。/障害者雇用は思っていた以上に狭き門だなと実感中。」
X・2026-08-04 x.com
地域や雇用枠によっては、配分の話ではなく本当に在庫の話です。この場合、エージェントを増やしても結果はあまり変わりません。ハローワークや地域特化のサービスに軸を移すほうが合理的で、これはエージェントを勧めない側の結論になります。
担当者を責めても、たぶん状況は変わらない
ここまで読んで、担当者に不信感が湧いたかもしれません。ただ、この記事で挙げた現象は、担当者が意地悪だから起きているわけではないと思います。決まらなければ売上が立たない仕組みの上で、限られた時間をどこに置くかという判断を、毎日全員がやっている。その結果が、受け取る側からは温度差として見えます。
だから対処も、人を責める方向ではなく、自分に時間を使う理由をつくる方向のほうが効きます。
- 選考の進捗を自分から報告する(動いている人には時間を使う理由がある)
- 応募したい求人を自分で見つけて持ち込む(提案の手間が減る)
- 転職の時期をはっきり伝える(いつ決まるかが読める人は優先される)
- 合わないと感じたら、会社を変える前に担当者の変更を頼む(頼み方)
最後の項目は、実際に効いた例が口コミにあります。
「今は担当を変えて頂いて、今のところ大丈夫そうです。変えてもらって思うのは、同じマイナビなのに担当を変えてもらうだけでこんなに違うんだと実感し」
パンダさん・★1.00・2019.03.16 minhyo.jp
1件の投稿なので、これが標準だとは言えません。ただ、担当変更が社内では日常の手続きであることは確かで、頼んで関係が悪化するようなものではありません。
この記事で確かめたこと
- 紹介の量は、その会社の求人在庫ではなく、担当者の時間がどこに配られるかで変わります。在庫は社内で共通です。
- 手数料は入社が決まったときにだけ発生し、額は年収に連動します。上限の実額を公開している会社があり(メドレー:就職後1年間の賃金の100%または100万円のいずれか高い方)、2025年4月からは職種別の平均手数料率の公開も義務になりました。
- 「見込みのある人に手厚い」という趣旨の証言は、リクルートエージェント・パソナキャリア・type・ヒュープロと、会社をまたいで独立に出ています。担当者個人の性格では説明がつきません。
- ただし「後回しにされる人が何割いる」という数字は、公的にも各社の公開情報にも存在しません。ここで書けるのは仕組みと証言までです。
- 大量の自動配信が届いている状態は、紹介が止まっているのと実質は同じです。人が選んだ提案があるかどうかで見てください。
- 地域や雇用枠によっては、本当に母数が少ないこともあります。その場合はエージェントを増やしても変わりません。
紹介が来ないこと自体より、「自分に価値がないのかもしれない」と考え始めることのほうが、転職活動には効いてきます。1社の反応は1社の在庫と時間配分の結果です。
エージェントの言うことをどこまで信じるかという話になってきたら、エージェントが信用できないと感じたとき、何を見ればいいかに、報酬の出どころから見た判断の仕方を書きました。転職活動全体のどこで止まっているか分からなくなったら、転職活動の進め方から現在地を確かめるのがいいと思います。