職務要約に「採用業務全般を担当」と書いてある書類を、採用側では何度も見てきました。丁寧に書こうとして、結果として情報が何も伝わっていない状態になっているのがこの形です。

採用側で書類を読んでいると、職務要約の一行目で手が止まる書類と、最後まで読める書類の差がはっきり出てきます。「全般を担当」という書き方は、嘘をついているわけでも、雑に書いているわけでもありません。ただ、読む側には担当した仕事の範囲が見えないため、その先に進みにくくなります。

私は転職エージェントを5年、そのあと大手メーカーの人事で採用担当を3年、人事・採用の外部コンサルを3年経験しました。人事として面接を担当した人は約500人、エージェントとして面談した求職者は3,000人超です。この記事では、書類を読む側の視点から、職務要約の書き直し実例を使って説明します。

採用側が「全般を担当」で止まる理由

書類選考では、職務要約を読んで「この人は何ができる人か」を最初に確認します。確認できれば、その後の職務詳細を読むときに、何を見ればいいかの目当てができます。確認できなければ、最後まで読んでも全体像がつかめないまま終わります。

「採用業務全般を担当」という書き方で止まるのは、どの範囲を担当していたのかが見えないからです。採用業務には、求人票の作成、媒体への掲載、応募のスクリーニング、面接の日程調整、面接への同席、評価の入力、内定通知の送付など、工程がいくつもあります。全部やっていた人もいますし、一部だけ担当していた人もいます。「全般を担当」だけでは、どの工程を担当していたのかが分からないため、読んでいる側は次の判断をするための情報が足りません。

責任の大きさや成果の数字を書く必要はありません。採用側が確認したいのは、あなたが担当した仕事の範囲です。

書き直しの実例

以下は架空の設定です。実際の応募者の書類ではありません。人事部門で中途採用の担当として働いていた人を想定しています。架空設定の例として明記した上で、変え方だけを参考にしてください。

職務要約の書き直し実例(架空設定・中途採用担当を想定)

修正前 採用業務全般を担当 修正後 中途採用の応募受付、面接調整、内定後の連絡を担当。部門担当者と候補者の日程を調整した

修正後では、「応募受付、面接調整、内定後の連絡」という3つの工程が書かれています。さらに「部門担当者と候補者の日程を調整した」は、複数の関係者とのやりとりを自分で行っていたことを示しています。成果の数字は入っていませんが、担当した範囲と実際の動きが分かるようになっています。

実際の書類でも、担当範囲を書き出すだけで読まれ方が変わることが多いです。エージェントとして書類を担当に送る立場でも、担当した工程が分かっていると推薦文を書く材料が増えます。担当者が書類に何を付け加えて企業に送るかは、転職エージェントの仕組みと使い方で説明しています。

なぜ「担当した範囲」が再現性になるのか

採用側で見ているのは、実績の大きさだけではなく再現性です。入社後にうちの会社でも同じような仕事ができるか、というのが確認したいことです。

数字のある実績は再現性の証拠として分かりやすいですが、それだけが証拠ではありません。「中途採用の応募受付、面接調整、内定後の連絡を担当した」という経歴があれば、採用担当として中途採用の工程を一連で経験していることが分かります。「部門担当者と候補者の日程を調整した」は、複数の関係者との調整を自分でやっていた事実です。この粒度で書かれていると、採用側は入社後の動きをある程度想像できます。

採用業務に限らず、「営業全般を担当」「人事業務全般を担当」でも同じです。担当した工程を並べると、読む側に情報が届くようになります。

自分の担当範囲を書き出す手順

「全般を担当」と書いてしまう人の多くは、自分の仕事を一段抽象的に見ています。採用側から見るとそこで止まりますが、書いた本人には全部見えているので気づかないままになります。

まず、自分がやっていた仕事の工程を一度全部書き出してみてください。採用業務なら、どの工程を担当していたか、誰とやりとりをしていたかを思い出すと素材が出てきます。エージェント時代に「実績がないから書けない」という相談を受けていたときも、話を聞くとほぼ必ず担当した工程は出てきました。実績として数字になっていなくても、担当した範囲は事実として書けます。

書き出した工程のなかから、応募先と関係が深い部分を選んで職務要約に持ってきます。全部を書く必要はなく、応募先で活かせる仕事と近い経験を前に出すのが実際的です。

書いたあと、採用側が最初の30秒で確認している箇所を先に知っておきたい場合は職務経歴書で最初に読まれるのは、冒頭5行の職務要約ですを参照してください。経歴の並べ順については職務経歴書の経歴は、古い順と新しい順のどちらで並べるかで扱っています。