ドライバーの求人には、他の業界にはあまりない大きなお金の表示が並びます。

  • 「月給40万円保証」
  • 「入社祝い金30万円」
  • 「二種免許費用は会社負担」

その言葉の中身を確認せずに入社すると、損をしうる仕組みがあります。公的資料と求人サイトの実際の掲載を突き合わせるだけで、それがいくつも確認できました。

エージェントという商売の仕組み自体は、業界が変わっても同じです。そこは転職エージェントの仕組みに別でまとめてあります。この記事はドライバー分野で確認できた事実に絞ります。

この記事に書いたのは、次の3つです。

  • 警察庁・厚生労働省・国土交通省などの公的データ
  • 各社の公式サイトで確認できたこと
  • 出典つきの口コミの原文

調査日はすべて2026年8月12日。求人数や掲載内容は日々変わるので、参考値として読んでください。

先に、いちばん大事なことをひとつ

「入社祝い金」「給与保証」「免許費用の会社負担」は、名称だけでは中身が分かりません。同じ名前でも、返さなくていいお金のことも、辞めたら返す約束のお金のこともあります。

だからこの記事の結論は最初に書けます。求人票の名称ではなく、労働条件通知書と契約書の条文を確認してください。何を確認するかは、この後ひとつずつ具体的に書きます。

「エージェント」と「求人サイト」が名前で区別できない業界です

ドライバー分野の転職サービスを17社、公式サイトで確認しました。最初に分かったのは、担当者がつく人材紹介(エージェント)と、自分で応募する求人サイト(広告掲載型)が、名前ではまったく区別できないことです。

しかも同じ会社が両方をやっているケースが多い。

この区別が大事な理由は2つあります。

理由1。人材紹介には国の許可番号がある

人材紹介を行うには国の許可(有料職業紹介事業許可)が必要で、許可番号は会社が表示します。求人広告の掲載だけなら職業紹介の許可は要りません。だから、許可番号が書いていないこと自体は違法ではありません。

ただし「あなたに合う会社を紹介します」「面接を設定します」と言われたら、それは職業紹介です。その場合は許可番号を確認してよい。厚生労働省の「人材サービス総合サイト」で、誰でも社名から引けます。

理由2。登録後に起きることが違う

体験のされ方が違います。紹介型は登録すると担当者から電話が来る設計です。求人サイト型は自分で選んで応募するまで、基本的に何も起きません。

これは理屈の話ではなく、集めた口コミがきれいにそう分かれていました。次の節でそのまま見せます。

口コミを集めたら、苦情の型が「紹介型」と「求人サイト型」で分かれた

今回、原文と出典の両方を確認できた口コミを、サービスの種類ごとに読み比べました。

先に断っておくと、口コミは投稿者の属性が分からないものが多く、件数も限られます。件数の多い少ないを「良い会社・悪い会社」に読み替えないでください。

それでも、苦情の中身の型がはっきり分かれていたことは、書く価値があると思いました。

紹介型に集中していた苦情は、電話と放置

人材紹介型のドライバーキャリア(X Mile株式会社)には、みん評に21件の投稿がありました(総合2.69)。現在はクロスワークという名称に変わっています。

目立った型は3つです。

型①、別の番号からの連続架電。

「何度も何度もしつこいので着信拒否をしたら、違う番号から再度電話の嵐。その番号も着拒したら、またまた違う番号から。堂々巡りで怖い。」

とくめいさん・★1.00・2024.06.26 minhyo.jp

型②、登録した覚えがないのに電話が来る。

「ドライバー求人も見たこともなく、サイトも見たことも登録したこともありません。なぜ電話がこんなにもかかってくるのか不思議です。」

とくめいさん・★1.00・2024.08.02 minhyo.jp

型③、逆に、連絡が来なくなる。

「最初の、対応は良かったのですが求人を探して連絡しますと言って電話を切ったのですが、それから一か月も連絡なし。個人情報だけ聞かれてそれで終わりです。」

ととさん・★1.00・2024.04.11 minhyo.jp

「匙を投げたのか、突然連絡が来なくなった。バックレとかバイトかよと思った。」

モフモフの実の能力者さん・★1.00・2025.04.02 minhyo.jp

希望と違う職種を勧められたという投稿もあります。

「必ずタクシーの紹介をしてくるのはマージンが良いからかは知らないが、タクシーはやりませんと言っているにも関わらずハイヤーはどうですか?と聞いてくるしつこさ。」

とくめいさん・★1.00・2024.06.14 minhyo.jp

「条件言った事と全然違うところ紹介される」

こうさん・★1.00・2024.11.27 minhyo.jp

公平のために書くと、良い体験の投稿もあります。

「連絡日初日に、自分の希望した条件にマッチした会社をその日のうちに紹介していただき、面接日もスムーズに決めていただけました。」

SVさん・★5.00・2024.04.18 minhyo.jp

同じ会社で「電話がしつこい」と「その日のうちに決まった」が同居している。担当者や時期で体験が大きく振れる、というのが投稿を通して読んだ実感です。

1件ずつは個人の体験であって、この会社の標準だと断定はできません。

他社にも同じ型の投稿がある

紹介型の電話については、他社でも同じ型の投稿があります。ドライバーズワーク(株式会社ミライユ)については、Yahoo!知恵袋にこういう質問が上がっていました。

「ドライバーズワークって何ですか?知らない電話番号から電話が来て、調べたらそう出て来ました。」

Yahoo!知恵袋 detail.chiebukuro.yahoo.co.jp (取得 2026-08-12)

ドライバージョブについても1件。

「ドライバージョブって求人サイトがめちゃくちゃしつこいのですが、彼らは就職させたら何かメリットがあるのですか? 19時以降とかに電話が、かかってきます」

Yahoo!知恵袋 detail.chiebukuro.yahoo.co.jp (取得 2026-08-12)

求人サイト型には、電話の苦情がなかった

対照的なのが求人サイト型のドラEVER(株式会社ドラEVER)です。みん評の8件(総合2.73)を全部読みましたが、電話に関する苦情はゼロでした。内容はサイトの使い勝手の話です。

「こちらのサイトは個人情報の入力が要らないので登録に時間をかけることなくスピード感を持って求人に応募することができました。」

どら太郎さん・★4.00・2021.05.14 minhyo.jp

「最初に感じたことは『本文のフォントサイズが小さくて見にくい』ということです。」

オールドルーキーさん・★2.00・2021.07.06 minhyo.jp

苦情の上限が「フォントが小さい」なのです。ただし注意点がひとつ。ドラEVERの投稿は2020〜2021年のもので古い。いまも同じとは限りません。

ここから言える選び方

  • 電話でのやりとりが苦にならず、求人を探してもらいたい人は紹介型
  • 自分のペースで探したい人、電話が嫌な人は、求人サイト型から入る

それだけで、上に並べた型①②の体験は構造的に起きにくくなります。

紹介型に登録するなら、電話が続いたときに担当変更や停止を頼めることを知っておいてください。頼み方は担当者変更の頼み方に書いています。

なお、次のサービスは、実ユーザーの一次投稿を今回確認できませんでした。

  • P-CHAN TAXI
  • 転職道.COM
  • タクナビ
  • ドラ侍
  • トラッカーズジョブ
  • ジョブハウスドライバー
  • クロスワーク

「悪い口コミはほぼ無し」と書いている比較記事は複数ありますが、根拠になる一次投稿にたどり着けなかった。良い評判が確認できた、ではなく、検証不能です。そのまま書いておきます。

公式サイトで許可番号を確認できた11社

17社のうち、公式サイトのフッターまたは会社概要ページで有料職業紹介事業許可番号を自社で明示していたのは11社でした。番号ごと載せます(すべて確認日 2026-08-12)。

サービス名 運営会社 種別 主な対象 許可番号
ドラEVER 株式会社ドラEVER 媒体+紹介 トラック中心・全ドライバー職 13-ユ-314984
ドライバーズワーク(タクシー/トラック) 株式会社ミライユ 媒体+紹介 タクシー、トラック 13-ユ-306792
P-CHAN TAXI 株式会社ピーアール・デイリー 紹介 タクシー 13-ユ-305520
転職道.COM 株式会社日本総合ビジネス 媒体+紹介 タクシー 13-ユ-301308
タクQ 株式会社しごとウェブ 媒体+紹介 タクシー 13-ユ-306679
ドラ侍 株式会社ドラ侍 媒体+紹介 全ドライバー職 40-ユ-300958
プレックスジョブ 株式会社プレックス 媒体+紹介 ドライバー全般+整備士等 13-ユ-309652
ドライバー転職ドットコム 株式会社エクスプレス・エージェント 紹介+派遣 ドライバー・タクシー等 13-ユ-303623
どらなび リッツエージェント株式会社 媒体+紹介 バス専門 13-ゆ-317745(サイト表記のまま)
バスギアエージェント 株式会社アイデムコーポレーション 紹介 バス専門 13-ユ-312596
フルキャストポーター 株式会社フルキャストポーター 派遣+紹介 ドライバー派遣 13-ユ-308659(紹介)/派13-307990(派遣)

出典は各社の公式サイトです(いずれも取得日 2026-08-12)。

許可番号を確認できなかった6社

一方、公式サイト上で許可番号を確認できなかったのは次の6社です。

  • ジョブハウスドライバー(株式会社Techouse)
  • クロスワーク(X Mile株式会社)
  • GOジョブ(GO Job株式会社)
  • トラッカーズジョブ(株式会社Azoop)
  • タクナビ(タクシー求人ドットコム合同会社)
  • バス運転手の達人(IBI Inc.)

繰り返しますが、確認できなかった=違法ではありません

タクナビとバス運転手の達人は事業内容からして求人広告の掲載型と読めるので、そもそも許可が要らない可能性があります。検索結果には一部の社の番号らしきものが出てきますが、公式ページで裏が取れなかったものはこの記事では書きません。

トラッカーズジョブについてはもうひとつ。運営会社のページを確認したところ、サービスのURL(job.trck.jp)が会社サイトへ転送される状態になっていました。検索結果には「2026年4月30日でサービス終了予定」という記述がありました。

ただしこの終了予定は一次情報で確認できていません(確認 2026-08-12)。

事実として書けるのは「サービスのページに直接たどり着けない状態だった」ことまでです。登録を考えている人は、現在の状況を自分で確かめてください。ちなみに、終了した・しかけているサービスを現役として載せ続けている比較記事は、この分野に限らずよくあります。

タクシーは層が厚く、バスは手薄

領域ごとの厚みも書いておきます。

  • タクシーは専業サービスが5社あって最も層が厚い
  • トラックは求人数の絶対量が最大(ドラEVERが22,114件・2026-08-12時点のサイト表示)
  • バスは極端に手薄

バスは専業を3社しか確認できず、うち1社は職業紹介を行っていない広告媒体です。どらなびは対応エリアが首都圏・関西・中部に限られていました。バス転職の人は、最初から選択肢が少ないことを前提に動いたほうがいいと思います。

同じ会社が別ブランドを複数持っている

もうひとつ、細かいけれど実害のある話。同じ会社が別ブランドを複数持っています

  • ミライユはドライバーズワークを職種別に複数
  • X Mileはクロスワークほか職種別ブランドを複数
  • 日本総合ビジネスは転職道.COMとTSJ

別のサービスに登録したつもりが同じ会社で、電話が二重に来る原因になりえます。登録前に運営会社名を見てください。

「月給40万円保証」と「平均月給57万円」は、別の話をしている

タクシー求人でいちばん目立つのが給与保証です。実物を見てみます。日本交通の採用サイトには、こう並んでいます(出典: https://www.nihon-kotsu.net/ 取得 2026-08-12)。

  • 「入社後1年間は月給最大40万円の保証給与あり」(乗務開始〜3か月間は月給40万円、4〜12か月目は月給35万円)
  • 「全ドライバーの平均月給は57万円」

40万円と57万円。どちらも本当の数字だとして、この2つは別の話をしています

  • 40万円は、入社直後の保証期間の数字
  • 57万円は、勤続していて歩合で稼げている人を含めた全体の平均

保証が切れた後の「自分の」月収は、どちらの数字からも分かりません。

歩合は、売上の閾値を超えるまでゼロ

歩合の実際の水準感が分かる投稿がひとつあります。あるタクシー会社の給与体系についての質問です。

「固定給は20万 歩合給は月の売り上げ45万以上超えた分(45万は差引く)から40%」

Yahoo!知恵袋 detail.chiebukuro.yahoo.co.jp (取得 2026-08-12)

この体系だと、月の売上が45万円を超えるまで歩合はゼロです。未経験の最初の数か月に閾値を超えられなければ、収入は固定給だけになる。

保証給与は、まさにこの期間の落ち込みを埋めるためにある制度です。だから裏返せば、保証が切れる時期は、歩合で閾値を超えられるようになっていなければいけない時期でもあります。

業界全体の中位数は28.6万円

公的統計も並べておきます。全国ハイヤー・タクシー連合会が令和7年賃金構造基本統計調査をもとにまとめた資料では、タクシー運転者の月間給与は次のとおりです。

  • 平均は35.9万円
  • 賃金分布の中位数は28.6万円
  • 下位10%の水準は17.5万円

資料自身がこう書いています。

「平均値のみをもって賃金水準を評価することは適当ではなく、分布全体を踏まえた評価が必要である」

全国ハイヤー・タクシー連合会「『令和7年賃金構造基本統計調査』によるタクシー運転者の現況」(令和8年5月) taxi-japan.or.jp (取得 2026-08-12)

業界全体の中位数が約28.6万円の世界で、「月給40万円保証」も「平均57万円」も、かなり上のほうの数字だということです。

個別の会社で保証終了後に収入がどう変わるかを示す一次データは確認できませんでした。数字を並べただけで、落差の実額を断定するものではありません。

面接で聞くことは4つ

そのうえで、面接で聞くことはこの4つだと思います。

  1. 保証期間は何か月か。保証の開始は入社日からか、乗務開始からか
  2. 保証期間が終わった後、その営業所の平均月収と中央値はいくらか
  3. 保証額と歩合給の高い方が支給されるのか、保証は最低額なのか
  4. 保証期間の終了後にも最低保障(保障給)はあるのか

4つめには根拠があります。厚生労働省は、歩合給制を採用する場合には固定給と合わせて通常の賃金の6割以上が保障されるよう保障給を定めるべきという基準を示しています。求人票に保障給の記載がなければ、面接で聞いてよい話です。

「累進歩合制度」は行政が廃止すべきとしている

ついでに、歩合の話をもう一段だけ。

売上が一定額を超えるごとに歩合率が跳ね上がる「累進歩合制度」というものがあります。これは長時間労働やスピード違反を誘発するおそれがあるとして、厚生労働省の通達で廃止すべきものとされ、労働基準監督署の監督指導の対象になっています。

法律で直接禁止という形ではありませんが、行政が名指しで「廃止すべき」と言い続けている給与体系です。面接で歩合の計算方法を聞いて、口頭ではなく書面でもらってください。

同じ会社の求人でも、媒体によって保証の書き方が違う

もうひとつ、実際に見つけた事実を。

同じ会社の求人で、保証の書き方が媒体ごとに違っていました(いずれも取得 2026-08-12)。

金額が大きいと期間が短く、期間が長いと金額が小さい。保証は「金額×期間」のセットで初めて意味を持つ数字です。しかも同じ会社でも媒体や営業所によって条件が違うことがあります。

応募時に見た数字と、労働条件通知書の数字が同じかを必ず確認してください。

「入社祝い金」は、契約書の上では貸付になっていることがある

祝い金には2種類あって、規制のされ方が正反対です。ここを混同すると読み違えます。

仲介業者からの祝い金は、原則禁止

エージェントや求人サイトがくれる祝い金は、原則禁止されています。2021年4月から、職業紹介事業者が「お祝い金その他これに類する名目」で金銭を提供して求職の申込みを勧奨することは禁止されました。

さらに2025年1月からは職業紹介事業の許可条件に、2025年4月からは求人サイト(募集情報等提供事業者)にも禁止が広がっています。いま「当サイト経由の応募で祝い金」をうたう紹介サービスがあったら、それ自体を疑ってください。

入社先の会社が払う祝い金は、別の話

一方、入社先の会社自身が払う入社祝い金は、これを直接禁止する条文・通達を今回の調査では確認できませんでした

実際、タクシー求人サイトには企業支給の入社特典が多数載っています(例: 「35万円【タクナビからの応募で企業から支給】」国産自動車交通株式会社。出典: https://takunavi.jp/s/x8/ 取得 2026-08-12)。

この企業支給の祝い金に、知っておくべき落とし穴があります。入社して2年以内に辞めたら祝い金の返還を求められた、という相談がYahoo!知恵袋にありました。その回答がこの仕組みを端的に説明しています。

「祝い金が『貸付金』として組まれ、2年勤務で返済免除という形なら、別個の金銭債務として返済義務が生じる」

Yahoo!知恵袋 detail.chiebukuro.yahoo.co.jp (取得 2026-08-12。回答の趣旨)

「辞めたら罰金」は法律でできないから、貸付になる

背景には法律の構造があります。労働基準法第16条は「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない」と定めています。「2年以内に辞めたら罰金」という契約はできない。

そこで実務では、お金を貸付(金銭消費貸借)として渡し、一定年数勤めたら返済を免除するという形が使われます。

タクシー会社の労務解説にも同じ説明があります。労基法16条により定額の違約金は無効で、実務では消費貸借契約で貸与し、一定年数勤務で返済免除とする、というものです。

つまり、求人票に「入社祝い金」と書いてあっても、契約書の上では「貸付金」かもしれない。名称ではなく、契約書に「貸付」「返還」「償還」という言葉があるかどうかが分かれ目です。

支給の時期と条件も確認する

支給の条件も確認が要ります。タクシー紹介会社のコラムには、こういう解説があります。

  • 支給時期は「入社1か月後や、研修が終了し12乗務後(入社2〜3か月後)の給与支払い時などが一般的」
  • 出勤率が9割程度を下回ると不支給になる場合がある

出典: P-CHAN TAXIコラム https://p-chan.jp/taxi/column/allowance (取得 2026-08-12)

同コラムは、賃金として支給された祝い金は原則として受給後に返還義務は生じないとも書いています。賃金としてもらったのか、貸付として借りたのかで、結論が正反対になるわけです。

求人サイトのタクQも、支給までの目安を1〜3か月としています(出典: https://www.taxi-qjin.com/contents/detail/52 取得 2026-08-12)。

二種免許の「会社負担」は、同じ言葉で中身が真逆の実例がある

タクシー・バスに未経験で入る場合、二種免許が必要です。法的な根拠は道路交通法第86条で、旅客を運送する目的の運転には第二種免許が要ります。

教習費用を会社が持つ制度は広くあります。国も担い手不足対策として「二種免許取得費用の支援」を施策に挙げています。

ここで、大手2社の公式表示を並べてみます(いずれも取得 2026-08-12)。

同じ「会社負担」でも、在籍条件つきと条件なしが併存しています。どちらが良い悪いではなく、同じ言葉の中身が会社によって真逆だという事実が大事です。

途中で辞めたら、月割で残額を返す例

在籍条件つきの場合、途中で辞めたらどうなるか。実例の計算が知恵袋にあります。

「30万借りて半年でやめた場合、30万÷24カ月×6カ月で75000円返済と計算されて、残額の225,000円の返済」

Yahoo!知恵袋 detail.chiebukuro.yahoo.co.jp (取得 2026-08-12)

24か月の在籍で完済扱いになる設計で、勤めた月数分だけ債務が減っていく(月割償却)。この形なら半年で辞めても全額ではなく残額の返済です。逆に、月割の定めがなければ期間内の退職で全額請求される契約もありえます。

相場感の回答もありました。会社の援助は通常2〜3年の勤続が条件で、期間内に退職すると返金になり、自己負担なら20〜25万円程度、というものです。

タクシー求人サイトのタクナビに「貸付金制度」という独立した検索カテゴリがあり、184件が該当することも書き添えておきます(出典: https://takunavi.jp/s/x8/ 取得 2026-08-12)。求人サイト自身が「支給」ではなく「貸付」というカテゴリ名を使っているのです。

確認すべきことは4つ

  1. 費用は会社負担(返済不要)か、貸付(返済あり)か
  2. 貸付なら、何年勤めれば返済免除になるか
  3. 免除までの期間は月割で減っていくのか、それとも期間内に辞めたら全額か
  4. 退職時に給与や退職金から天引きされる契約になっていないか

祝い金の節と同じ結論になります。名称ではなく、契約書の条文です。

紹介型か求人サイト型かを含めて、どこに当たるかを決めかねているならエージェント診断の4問を使ってください。

短期で試せない業界だということ

「合わなかったらすぐ辞めればいい」が、この業界では法令の構造上できにくいことも書いておきます。

バス・タクシー・トラックの運送事業者は、運転者を「常時選任」しておく義務があります。次の人は運転者として選任できません。

  • 日々雇用の人
  • 2か月以内の期間雇用の人
  • 試用期間中の人(14日超を除く)

出典(いずれも取得 2026-08-12): 旅客自動車運送事業運輸規則第35条・第36条 https://laws.e-gov.go.jp/law/331M50000800044 /貨物自動車運送事業輸送安全規則第3条 https://laws.e-gov.go.jp/law/402M50000800022

タクシーでは、新しく雇った人に指導と適性診断を済ませないと運転者に選任できない規定もあります。

研修期間中の賃金は、入社前に確認する

入社直後に長い研修期間が置かれるのは、会社の都合だけではなく法令の要請である場合があります。だから研修期間中の賃金がいくらかは、入社前に必ず確認する項目です。

給与保証の話とつながります。日本交通の保証は「乗務開始〜3か月間」という書き方でした。乗務開始までの研修と免許取得の期間が保証の外にあるなら、その間の収入は別に確認しないと分かりません。

派遣についても一応。自動車運転業務は労働者派遣の禁止業務ではありません(労働者派遣法第4条に挙げられていません)。ただし日雇い派遣は原則禁止です。

「派遣で運転の仕事」自体は合法に存在しますが、単発・日雇いの形は原則できない、と覚えておけば足ります。

検索上位の記事と、この記事の違い

「ドライバー 転職エージェント おすすめ」で検索すると、上位はほぼ紹介報酬を目的とした比較記事です。それ自体は珍しくないのですが、この分野で気になったことが2つありました。

口コミに出典がない

口コミを載せているのに、出典が書かれていない記事がほとんどです

たとえばタクシー紹介のP-CHAN TAXIを運営する会社のコラムには、競合サービスについて「28歳男性」「41歳男性」といった利用者の声が載っています。しかし、どのサイトのいつの投稿かが書かれていません。出典のない口コミは、検証のしようがありません。

競合サービスを運営する会社が別サービスの「口コミまとめ」を書いている、という構図も知っておいていいと思います。この記事の口コミに全部URLと取得日を付けているのは、読んだ人が原文まで自分で確かめられるようにするためです。

手数料は年収に連動する

エージェントの紹介手数料は求人企業が払い、多くの場合その人の年収に連動します。トラック専門のトラッカーズジョブは、紹介手数料が理論年収の25%以下または固定金額制と公表しています。

合法で業界標準の仕組みですが、年収が大きく見える求人を勧めやすい構造ではあります。タクシーの「保証込みの見かけの年収」と実際の年収が離れうる分野では、この構造は特に効いてきます。

口コミにあった「タクシーばかり勧められる」という体験も、この構造と重ねて読むと見え方が変わるはずです。勧められた求人の年収表示が保証期間の数字なのか、通年の数字なのかを自分で確かめてください。

まとめ。確認するのは名称ではなく条文

  • 紹介型と求人サイト型は名前で区別できません。口コミの苦情は紹介型に集中していて、型は「別番号からの連続架電」「未登録なのに架電」「放置」。電話が嫌な人は求人サイト型から入るという選び方があります。
  • 公式サイトで許可番号を確認できたのは11社でした。担当者がついて紹介される形なら、許可番号を厚労省の人材サービス総合サイトで引けます。
  • 「月給40万円保証」は保証期間の数字、「平均月給57万円」は勤続者込みの数字です。両方並んでいても、保証が切れた後の自分の月収は分かりません。保証は金額×期間のセットで読み、媒体間で表記が違う実例があるので、労働条件通知書の数字で確定させてください。
  • 入社祝い金は、契約書の上では貸付になっていることがあります。二種免許の「会社負担」も、在籍条件つきと条件なしが併存しています。契約書で「貸付」「返還」「償還」という言葉を探し、免除までの年数・月割償却・退職時の天引きを確認してください。
  • この業界は法令上、短期で試す入り方ができにくく、研修期間が長くなりえます。研修中の賃金と、保証の起点(入社日か乗務開始か)は入社前に確認する項目です。

物流・製造の現場職をまとめて比較したい場合は、全職種対応の派遣・転職求人サイトで地域と条件から探すのが早いです。

エージェントに断られたときの考え方はエージェントに断られたときに書きました。電話が続くときの対処は担当者変更の頼み方にあります。業界は違っても、そこは同じ仕組みで動いています。