生成AIスクールの相場を調べたことがある人ならわかると思いますが、数週間〜数ヶ月のコースで20〜60万円程度が中心です(2026年時点の各社公開価格の肌感です。検討する際は必ず最新の公式サイトで確認してください)。
安くないので迷うのは当然で、私も迷いました。しかも私はプログラミングができません。
それでも生成AIを人事の実務で使えるところまでは来ています。その経験から言うと最初からスクールは要らないと思っています。まず無料で「自分の仕事のどこに効くか」を確かめてから、足りない部分にお金を使う、という順番です。
もちろん、スクールそのものがムダだとも思いません。私自身がどう学んできたかも含めて、どんな段階ならお金を払う意味があるのかを書きます。
非エンジニアの学び方——お金を使う前の順番
「学び方がわからない」は正しい感覚

迷う理由の多くは値段そのものより「何ができるようになれば学べたことになるのか」がわからないからだと思います。プログラミング学習なら「アプリが作れた」というゴールがある。生成AIは触ろうと思えば今日から触れてしまう分、かえってゴールが曖昧なんですよね。
私の考えでは非エンジニアのゴールはひとつでいい。
自分でやる仕事と、AIに任せられる仕事を判断できるようになること。ツールの操作を覚えることじゃありません。
私がやった順番(と、挫折したこと)
自分の遍歴を書きます。途中でうまくいかなかったこともかなりありました。
最初にやったのは毎日の業務でひとつだけAIに頼むこと。メールの下書き、議事録の要約、企画のたたき台。上手くいかなくても翌日また別の業務で試す。お金がかからない代わりに意外と根気が要ります。地味に大変です。ちなみに人事部門の生成AI活用の中身を見ると、1位は議事録・会議要約の43.1%。上位は事務作業ばかりです(『人事白書2025』日本の人事部、n=6,139社、2025年3月調査)。実際、最初はこうした日常の作業で使う人が多い。私もここから始めました。
使い続けるうちに必要になったのが、自分が何をもって「使える」と判断しているのかを言葉にすることでした。AIの出力を見て「これは使える」「これは違う」と言うには、そもそも自分が仕事で何を良しとしているのかを説明できないといけません。AIを使ううちに、自分が普段どう判断しているのかまで整理するようになりました。
で、スクールはどうなのか

では、20〜60万円を払うと何が得られるのか。私が見る限り、学ぶ順番を用意してもらえること、続ける理由ができて質問相手も持てること、同期やコミュニティがあること。この3つが大きいです。
スクール代20〜60万円で買っているもの
このうちカリキュラム部分は、無料の情報でかなり代替できます。OpenAIやAnthropicの公式ガイド(https://platform.openai.com/docs / https://docs.anthropic.com)は無料で、しかも一次情報です。
だから業務でAIを月に数回しか触っていない段階でスクールに申し込むのは、たぶん早い。先に無料で毎日使う習慣を作っておかないと、受講しても結局は動画を見るだけになりやすいです。逆に、毎日使ったうえで「体系的に学べない」「聞ける相手がいない」「一人では続かない」と困っている人もいます。その問題を解決するためにお金を払うのであれば、スクールが合う人もいると思います。
一方で、お金を払ったからこそ続けられた人もいるはずです。一人では続けにくい人なら、学ぶ環境を用意するために20万円を払うという選択もあります。
なお、数十万円の一括コースと無料独学の間には、月額制で講座動画を見られるサービスも出てきています。DMMの「生成AI CAMP 学び放題」は、営業・マーケティングなど職種別のコースを月額で受講できます。一括で数十万円を払う前に試す選択肢のひとつです。ただ、一括コースほど続ける理由は作りにくいので、自分で継続できるかは考えておいたほうがいいです。
学びが「身につかない」問題だけは知っておいてほしい
ひとつだけ、学び方以前に知っておいてほしい研究があります。
OECD経由で紹介されたトルコでの実験で、GPT-4を使った学生は演習の成績が48%高かった。なのにAIなしの試験では成績が17%低かった。そういう結果が出ています(リクルートワークス研究所「生成AI時代の成長論」で紹介)。
トルコでの実験——「成果は上がるが身につかない」
生成AIを学ぶときも、出てきた答えを読んだだけで理解したつもりにならないよう、私は気をつけています。そのため、AIに書かせた内容を一度自分で説明し直す工程を残しています。
面倒ですが、私にはこのやり方がいちばん残りました。
生成AIを学びたいと思ったら、先に使う業務をひとつ決めたほうが始めやすいです。私の場合は求人票でした。そこで何度も使ううちに、知りたいことや足りない知識が具体的になりました。まず明日の仕事の中から、AIに一度やらせてみたい作業をひとつ決める。それくらいからで十分だと思います。
出典: 『人事白書2025』(日本の人事部、2025年3月調査・n=6,139社)/リクルートワークス研究所「生成AI時代の成長論」/OECD資料(トルコ実験)