先に、落とす側にいた人間の実感をそのまま書きます。中途採用の書類選考で、学歴の欄を最初に見たことは一度もありません。学歴フィルターという言葉が頭から離れなくて、応募ボタンの前で毎回固まってしまう人にこそ、この感覚の距離を知ってほしくて書いています。
見ないわけではないです。目には入ります。ただ読む順番がぜんぜん違う。この「順番」を知ると、学歴の不安のかなりの部分は戦う場所を間違えた不安だと分かります。
中途の書類は、どの順番で読まれるか
私が書類を読んでいたときの実際の視線の動きです。採用担当者が毎日こなす作業なので、読む順番はほぼ決まっています。
中途採用・書類を読む実際の順番
学歴は4番目で、しかも「ここで落とす」ためではなく、ただ目に入るだけの欄でした。中途採用は職務経歴書を買う取引で、20年前の入試の結果より直近3年の仕事のほうが、その人の再現性をはるかによく予測します。読む側は限られた時間で予測精度の高い情報から読むので、順番は必然的に職歴が先になります。最初の30秒で見る場所の記事で書いた通り、勝負は職務要約の5行です。
新卒採用は話が違います。職歴がないから学歴が数少ない予測材料になる。学歴フィルターの話の大半は新卒の話で、中途採用に来るとゲームのルールが変わっているんです。
では、学歴が効く場面はゼロなのか
ゼロとは言いません。正直に残っている場所を書くと、2箇所です。
ひとつは一部の伝統的な大企業や、コンサル・金融の一部。応募者が殺到する人気企業では絞り込みの一要素に学歴が使われることは今もあると思います。断言はできません。私が中にいた会社の話ではないので。ただ業界の人と話していてその気配は感じました。もうひとつは応募要件に「大卒以上」とある求人で、これは学歴フィルターというより応募資格です。高卒・専門卒の人には実害がある壁ですが、実務経験で代替可とする会社も増えていて、要件に「または同等の実務経験」とあれば出して構いません。迷ったら応募前に確認すればいい話です。
その2つ以外の広大な市場では、学歴はほぼ視界に入っていません。学歴フィルターを恐れて応募をためらうのは、市場の一部で起きている話を全体の話だと捉えてしまっている状態です。もったいないと心底思います。
学歴の不安が、本当に足を引っ張る場所
採用側として、学歴そのものより気になったことがありました。学歴を引け目にしている態度です。
面接で聞いてもいないのに「私は大学を出ていないので」と先回りして小さくなる人、書類の自己PRが最初から守りに入っている人。こちらの視界に学歴はとっくに入っていないのに、本人の萎縮だけが着実に評価を下げていくのを、面接の席で何度も見てもやもやしました。落としているのは学歴ではなく、学歴コンプレックスのほうなんです。
学歴に不安がある人の書類・面接
面接で学歴に触れられた場合、「はい、その分は現場で覚えてきました」くらいの一言で流して実務の話に戻せば十分です。深掘りされた記憶は、私が面接官をやった範囲ではほぼありません。職歴側で確認する場所は決まっています。その項目を職務経歴書チェックリストに並べました。
戦う場所を、職歴側に全振りする
学歴は今から変えられませんが、職務経歴書は今日から変えられます。不安のエネルギーを注ぐ先は書類の職歴側で、職務要約の5行・実績の数字・求人との重なりの見せ方を磨くことです。書類で落ちる理由の記事に書いた通り、落選理由の大半は学歴ではなく、書類が求人と噛み合っていないことのほうにあります。
学歴不問の求人を最初から集めている窓口を使うのも一つです。中卒・高卒からの転職支援を明示しているエージェントなら、門前払いの不安ごと相談できます。
学歴で門前払いされているのではという疑念を抱えたまま転職活動を続けるのはつらいですよね。書類選考で不採用を出す側にいた経験から見ると、その心配の多くは学歴以外に理由がありました。